日本人は農業や農村から離れすぎた われわれは、農業、農家、農村を知らない。 標準的なコメ作には年間27日しかかからない。田植えは機械がやってくれる。50年前までは農村のいたるところで見かけた腰の曲がったおばあさんはもういない。まして“おしん”など、どこにもいない。それなのに、われわれは、いまだにコメ作は手間のかかる重労働だと思っている。 2022年エサの穀物価格が上昇して酪農経営が苦しいと報道されている。しかし、酪農家の平均所得は2014年に1千万円を超え、2015年から2020年まで1,600万円を上回り、2021年でも1,300万円だったこと(注1)は報道されない。この間に稼いだ巨額の利益は、どこにいったのだろうか?農業の中では最も低いコメ作農家の所得でさえも国民平均を上回る。1960年代に貧農層は消滅した。しかし、われわれは、農家は貧しくかわいそうだと思っている。 1970年の農村集