私は、紙の本が近い将来に死ぬと考えている。もちろん、紙の本はなくなったりはしない。しかし、その使われ方は、例えば今、音を再生するのに物理的な音溝に針をあててガリガリと振動させるレコードは、一部の好事家しか使わないように、紙の本を読むのも、歴史家、文化財産の保存か、また一部の好事家だけになるだろう。 これは、いい、悪いの問題ではない。そうなってしまうのだ。例えば、この2013年に、最近の若いものは日本語の文字を筆で書かんからけしからん、などと言ったところで、どうしようもない。確かに、日本語の文字は筆で書くことを想定して設計されてきたが、もはや筆が日常的に使う筆記具ではない以上、今更言ったところで始まらない。石を投げていいのは、いまだにシャーペンやボールペンを持たず、代わりに、懐中に矢立と水入れと懐紙を持って表を出歩いている者だけだ。 そういうわけで、紙の本は、近い将来に死ぬ。問題は、紙の本に