前回のような具合で黒澤明の映画が大好きな板垣です。ま、でも一番観たのは上京して中野坂上の学生寮にいた時ですね。本当に1~2日おきに立て続けに近所のビデオレンタルに通って借りまくりました。……と言っても黒澤映画は全30本。50数年映画撮ってたわりには少ない方で(マキノ正博監督などは生涯で200本以上撮ってるし、山田洋次監督だって“寅さん”だけで50本近く撮りつつ他にもいっぱい撮ってるんですから)、ひととおり観るのは簡単でした。ひととおり観た後、お気に入りを何十回か繰り返し借りたりしたんです、「羅生門」「七人の侍」「用心棒」など。特に「羅生門」は少なくとも100回近くは観たんじゃないでしょうか。三船敏郎の力強さ、京マチ子のエロ……いや、美しさ、そしてカメラマン・宮川一夫の完璧なまでの画作り。芥川龍之介の短編(薮の中)を90分の映画に仕上げた黒澤明と橋本忍の脚本力とか、もうすでに数えきれないほど