日本政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に対する分担金拠出を留保しているのは、日中間に見解の相違がある「南京大虐殺」の文書を一方的に「世界の記憶(記憶遺産)」に登録したことへの無言の抗議といえる。また、日本政府が求める登録制度の是正に向けて圧力をかける狙いもある。 「私どもが全く知らない中で、さまざまなことが決められていった」 菅義偉官房長官は14日の記者会見で、ユネスコで昨年、「南京大虐殺」文書がずさんな審査を経て登録された経緯に言及し、強い不快感を示した。 記憶遺産をめぐっては、政府・与党内に「登録手続きの透明性や客観性、中立性が確保されていない」との批判が根強く、日本政府はユネスコに対して制度改善を求めている。13日の自民党部会でも、出席議員から「制度改善が進む兆しがなければ、分担金の支払いを停止すべきだ」など、より踏み込んだ措置を取るよう訴える声が上がった。 ユネスコには今年、日