政府が温室効果ガス削減の新たな目標案を提示した4月30日。環境省と経済産業省の専門家会合では「過去に例がないほど厳しい省エネ対策が必要だ」などと、慎重な意見が相次いだ。既に最高水準の省エネを導入してきた日本が、一段の排出削減に取り組むのは簡単ではない。 増えるCO2 なかでも平成25年度の国内の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で14億800万トンと、過去2番目の高水準だった。政府は32年度までに17年度比3.8%減の削減目標を掲げているが、25年度は0.8%増と逆に遠ざかった。 この原因を、環境省幹部は「原発停止に加え、電力各社が石炭火力の稼働を増やしているからだ」と説明する。石炭火力は石油の3分の1と火力発電で最も発電コストが低く、資源を入手しやすい。 15年に東京電力が30年ぶりに石炭火力を復活させ、常陸那珂火力発電所(茨城県)の運転を開始。また、今年3月、九州電力と出光興