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告知の時からこじれた主治医との関係静岡県磐田市に住み、膵臓がんの患者・家族会「パンキャンジャパン」静岡支部長を務める石森恵美さん(55)が、中学校校長だった夫、茂利さん(当時57歳)の異変に気づいたのは2010年5月のことだ。夜、風呂上がりに着替えていた夫の皮膚が異様に黄色くなっているのに驚いた。 本人に痛みなどの自覚症状はなかったが、翌日行ったかかりつけのクリニックで「深刻な病状だと思う」と告げられた。その翌日には紹介された地元の大きな総合病院に即入院。精密検査を受け、入院3日目には肝臓や十二指腸にも転移した末期のすい臓がんと告知を受けた。 「若い主治医だったのですが、告知の場所も個室ではなくナースステーションの片隅で、『手術はできない状態です。月単位の命だと考えてください』と重大なことを機械的に告げられたと感じました。ショックを受けている私たち夫婦に何の配慮もなく、サクサクと用件を済ま
「ナンバー2」はトップを目指す応接間に通されるとハガキはテーブルに積み上がり、お茶や缶コーヒーも箱で用意されていた。人通りも少ないお盆休み明けの永田町である。そのなかにあって、枝野幸男さんの部屋はまさに「選挙事務所」となっていた。 2011年3月11日、東日本大震災と福島第一原発事故を官房長官として経験し、スポークスマンとして記者会見に立ち続けた姿を記憶している人も多いだろう。 官房長官や幹事長としてリーダーを支えてきた「ナンバー2」が、自らリーダーになるべく名乗りを上げた。支持率が伸び悩む民進党の活路を、どこに見いだすのか。安倍政権との違いを、どう打ち出していくのか。 《安倍政権は上から下へのトップダウン型です。上が強くすれば、全体に行き渡るという政治です。我々は暮らしの現場から政治を動かして、政治を立て直していく。ボトムアップ型という違いがある。》 安倍首相が唐突に打ち出した自衛隊を明
山際淳司、スポーツライターであり作家。1948年、神奈川県生まれ。「団塊の世代」である。活躍の場は活字だけでなくテレビにも広がり、NHKでキャスターも務めたが、1995年に46歳の若さで逝く。がんによる肝不全だった。 早すぎる死を、彼を知る誰もが悼んだ。 「江夏の21球」で、彼が作り上げたスタイルは「当たり前」のものになった。それにも関わらず、いつしか彼が遺した膨大な作品群はほとんどが絶版となり、忘れられた作家になっていった……。 再び集まる注目この夏、山際に再び注目が集まっている。角川新書で作品集『江夏の21球』が出版され、過去の作品が復刊されたからだ。 この新書の担当編集者から、こんな誘いを受けた。 刊行に合わせて、山際の息子でスポーツライターとしても活躍していた犬塚星司さん(博報堂などを経て、起業。現在はコンサルタント)が、ゆかりの人物にインタビューする企画がある。そこに同席をしない
「夜明けの祈り」というポーランド映画が間もなく公開されます。第二次世界大戦中に起きた実話を元にした映画で、ソ連兵複数人がポーランドの修道院に侵入し、性暴力を行った後、7人の修道女が妊娠したという内容です。 フランス人の女性医師が修道女たちの力になり、救いもある物語ですが、身ごもった修道女たちが信仰と命の尊さの間で苦悩しながら出産する姿が描かれ、性暴力が身体的、精神的被害をもたらすことがよく伝わってきました。 「昔の話だから」「戦争という状況下だから」と過去の性暴力被害を軽んじ、目を背ける向きもありますが、映画に描かれていた修道女たちの苦悩と比べて、現代日本における性暴力被害者の立場は改善されたとは残念ながら言えません。 レイプ告白、インターネットの反応に違和感5月末に、ジャーナリストの詩織さんが顔と名前を公表して、自身が受けた準強姦の事件が不起訴になったことを世に訴えました。 事件が起きた
豊洲市場に移転するかどうか。長引く議論がいよいよ大詰めを迎えている。日経新聞などによると、小池百合子都知事は週明けにも豊洲移転を表明するという。 築地から豊洲市場への移転は、2016年11月の予定から大幅に延期されていた。この間、大きな注目を集めていたのが豊洲市場の安全性問題だった。はたして、ここまで議論が必要だったのか? 安全性を疑問視した報道豊洲の土壌や地下水を検査したところ「基準値超え」の化学物質が検出され、「安全性への疑問が深まった」などとする報道も続いた。 都はかねてから豊洲開場の条件としての「無害化」を条件にしていたが、達成できなかったとして、小池知事は業者に「お詫び」をした。 化学物質のリスク評価の第一人者、中西準子・横浜国立大名誉教授(79歳)はこう語る。 「豊洲新市場は安全性に問題がないのに、小池知事の姿勢が議論を混乱させた」 中西さんは、公害の時代から環境問題に関わり「
テレビに多数出演する著名ジャーナリスト・山口敬之氏にレイプされたと主張する女性・詩織さん(28)が5月29日、山口氏が不起訴となったことを受け、検察審査会に不服申立をしたと発表した。詩織さんは弁護士を伴い、東京・霞が関の司法クラブで記者会見した。 配布された資料などによると、詩織さんは2015年3月、当時TBSワシントン支局長だった山口氏に就職相談をしたところ、食事に誘われた。そして4月3日午後8時ごろ、都内の串焼き屋に入り、午後9時20分ごろ寿司屋に移ったが、そこで食事をしているところで記憶を失った。そして、痛みで目覚めた際、レイプされていることに気付いたという。 時折涙ぐみながら、詩織さんは語った。 「私の意識が戻ったのは翌朝の午前5時ごろ。ホテルのベッドの上でした。私は裸にされており、山口氏が仰向けの私の上に跨っている状態でした。詳細については差し控えますが、はっきり言えることは、私
受動喫煙を防止するため、飲食店などの屋内を原則禁煙にする対策を盛り込み、今国会での成立を目指す厚生労働省の健康増進法改正案。 自民党が15日に開いた厚生労働部会で、がん患者が職場でたばこの煙にさらされる辛さを訴えた議員に対し、別の議員から「(がん患者は)働かなくていい」とヤジが飛んだことが認定NPOフローレンス代表の駒崎弘樹さんのブログなどで指摘され、がん患者らから批判を浴びている。 「全国がん患者団体連合会(全がん連)」(天野慎介理事長)は、この発言は見過ごせないとして18日、抗議の意を表明し、改めて屋内禁煙の法制化とがん患者の就労支援を訴える見解を出した。 自民党対案への反対意見にヤジ朝日新聞の報道によると、この日、塩崎厚労相が直接説明に入り、一定面積以下のバーとスナックをのぞいて原則禁煙とする厚労省案に理解を求めた。 それに対して自民党側からは、すべての飲食店を一括りにし、一定の面積
2016年、クリスマスの数日前のこと。かかってきた電話は、それまで誰も予想できなかったような内容だった。 シーナ・マコーマック教授は、HIVウィルスを追跡し、それと闘うことに生涯を捧げてきた疫学者であり、世界でもっとも高い評価を受けるHIV専門医だ。マコーマック教授はその日、電話の相手に対して、トップニュース級のメッセージを伝えた。この12カ月間で、HIV感染症の診断を受ける男性同性愛者の数が40パーセント、イングランド全域では3分の1も減ったという知らせだ。 HIVウィルスが発見されてから35年以上が経つが、これほど大幅に減るのは異例のことだ。このあまりにも大きい数字は、医学界では驚きを通り越して虚偽にさえ見えてしまう。だが、この数字は本当だった。 この物語の背景には、秘密裏に何度か行われた会合と、人々のネットワークがあった。その中心にいたのは、ある男性だ。医学の歴史が変わった陰には、人
ギヨーム・ラローズ(20)はゲイだ。かつ、フランスの極右政党「国民戦線」のメンバーだった。そして昨年暮れ、その存在が仏メディアを賑わせた。 ラローズについて、伝統的な右派・左派といったカテゴリーではくくれない。そして、労働者階級を超えて、国民戦線が支持を拡大しようとするとき、ラローズのような層を引きつけることは欠かせない。 ラローズはパリ第二大学の学生。2012年の大統領選では、社会党のフランソワ・オランドを支持した。現大統領だ。だが次第に、その政策に失望していく。多くの左派と同様に。 2016年9月、ラローズはパリの駅で集団に襲われた。集団は移民たちだったと思っている。ヘイト犯罪ではなく、路上強盗だったとも。だが、この経験をきっかけに、国民戦線の党首マリーヌ・ルペンの掲げる反移民政策に強く惹かれた。 「『フランスにとってのチャンス』3人に襲われた」。ラローズはSNSに投稿した。「チャンス
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