昭和天皇の「大喪の礼」にオランダが王族を参列させなかった理由 この顔触れの中で、オランダのウィレム・アレクサンダー国王とマキシマ王妃の列席には感慨深いものがある。昭和天皇の「大喪の礼」(1989年2月)のとき、オランダ政府はファン・デン・ブルック外相を参列させたからだ。欧州の王室で、王族を参列させなかったのはオランダだけだった。 これにはオランダの厳しい対日世論があった。大戦中、日本軍は緒戦で蘭領インドネシアを占領し、オランダの婦女子を含む約9万人の民間人と、約4万人の戦争捕虜と軍属を強制収容所に入れた。占領中、食料不足や風土病で約2万2000人が亡くなった。死亡率は約17%に上り、これはシベリア抑留で亡くなった日本人捕虜の死亡率(約10%)より高かった。 オランダのウィレム・アレクサンダー国王とマキシマ王妃 ©getty 大戦後、オランダ植民者は一切合切を失って引き揚げた。しかしオランダ