観戦記を書く者として、自分自身への戒めも込めて。 将棋世界1987年12月号、内藤國雄九段の「自在流スラスラ上達塾」より。 昔は新聞将棋の切り抜きを毎日欠かさずにされている人が多かった。 中には全棋戦の切り抜きをする(勿論そのために沢山の新聞を購入する)プロ顔負けの熱心な人も少なくなかった。 今は、そういう統計があるわけではないが切り抜きに精出す人はうんと減ってしまったのではないかという気がしてならない。 情報は豊富になると有難味が薄れる。 専門誌が増えたほか、テレビ、週刊新聞将棋、一般週刊誌の中野将棋記事等至る所に将棋情報がある。 「この頃は新聞を切り抜く時の胸のわくわくするような楽しみが薄くなりましたね」という声をよく耳にする。 とはいえ毎朝掲載される新聞将棋には他には得られない独特の持ち味がある。 (中略) 新聞の観戦記は、将棋を全くご存知ない方も意外と読んでいる。ご婦人の読者がある