給料はあなたの価値なのか――賃金と経済にまつわる神話を解く 作者:ジェイク・ローゼンフェルドみすず書房Amazon 原題は”You’re Paid What You’re Worth: And Other Myths of the Modern Economy”で、2021年に出版(邦訳は2022年2月刊)。 著者は、大学学部での社会学の講義をきっかけに「なぜある人はたくさんもらって、あるひとはもらえないのか」との疑問を持ち、給与の決定に関する既存の説明を疑うようになった、とのことである。その既存の説明とは、賃金を労働の限界生産物とする新古典派経済学のそれであり、またそれと整合的な人的資本モデルである。しかし労働の限界生産物を測ることは困難である。企業が従業員と取り交す給与秘密保持契約は、企業と従業員との間に情報格差を生じさせ、労働市場において買い手独占の状況を生む。また企業は従業員と競業