防衛力強化に関する有識者会議の佐々江賢一郎座長(左)から報告書を受け取る岸田首相=22日午前、首相官邸 政府の有識者会議が、岸田文雄首相へ防衛力強化に関する報告書を提出した。厳しい安全保障環境や戦い方の変容を踏まえ、「5年以内に防衛力を抜本的に強化しなければならない」と結論づけたのは妥当だ。 特筆すべきは、周辺国を念頭に「具体的な脅威となる能力に着目」し、「他国による侵攻の抑止や阻止、排除を行い得る防衛力を構築」するよう求めた点だ。これは脅威対処型の防衛力整備への転換の呼びかけであり、国民を守る観点から評価できる。 日本の防衛費は三木武夫内閣以降、国民総生産(GNP)比または国内総生産(GDP)比1%程度に事実上抑制され、自衛隊は周辺国の軍事的脅威に対処できない規模にとどめられてきた。過度の対米依存の表れである。 日米同盟は核抑止を含め安全保障の基軸で、協力深化は極めて重要だ。だが、米国の