(英エコノミスト誌 2009年6月27日号) 米国の労働者は賃下げや強制的な無給休暇を冷静に受け止めている。 今より景気が良く、新聞業界が切羽詰まっていなかった頃、オハイオ州クリーブランドの新聞プレイン・ディーラー紙の記者たちはいつも、会社との交渉に当たる労働組合がわずかな賃上げしか獲得できないことに不平をもらしていた。 ところが2009年5月、労組がレイオフを行わないという確約と引き替えに12%の賃下げを受け入れたと発表すると、拍手が沸き起こった。「あれには驚いた」と、労使交渉に当たった医療担当記者ハーラン・スペクターさんは言う。 長年続く多くの経済関係と同様、「賃金の硬直性」も今回の過酷な景気後退の下でどこまで通用するか試されている。 通常、失業率が急上昇した時は賃金は下がらないことが多い。ただ、伸びが鈍化するだけだ。なぜ労働の対価はほかの商品よりも需要に対する反応が鈍いのか