川梅家と荒野家の婚儀に乗じて行われた荒野家による奇襲攻撃。安心して婿を迎えるつもりだった川梅城は落城し、当主も切腹して果てた。 花嫁になりそこない生き残った釉姫はかろうじて脱出し、辺境の末泥城に逃げ込む。城の伝説にしたがい池に骨を投げ込むと、城郭研究部の鬼岩番が異世界から現れ、奇策を授けて彼女たちを窮地から救った。 川梅家を一挙に滅亡させることに失敗した荒野家は作戦を練り直し、本国から増援を呼び寄せる。一方、川梅釉は反撃に転じつつ、隣国の貝腰家に援軍を要請。 不安定な状態になった川梅領の帰属をめぐる大きな戦が起ころうとしていた。 「まさにそれが問題よ」 社の前で釉姫は鬼岩番に語った。 「我らは貝腰に助けを求めるしかないが、貝腰に助けられれば頭が上がらぬ。荒野の支配は避けられても今度は貝腰の組下になってしまうじゃろう……」 異邦人(よそもの)ということもあり姫は番に家臣には話しにくい悩みをよ