本紙が把握できた「過労死企業」百十一社のうち、およそ五割は今も過労死ラインの月八十時間以上の残業を認めていた。家族を過労で亡くした遺族らは「過労死を起こした企業名を公表すれば、企業も本気になって対策に取り組むはず」と訴える。だが厚生労働省は公表を拒んでおり、どの企業で過労死が起こったかはブラックボックスになっている。 (中沢誠、皆川剛) 本紙は三月、過労死のあった企業名を厚労省に情報公開請求した。しかし、開示文書中の企業名は全て黒塗り。同省労働基準局監督課の担当者は「企業は『公表されるなら問題を隠そう』という発想になる。労働基準監督署が指導に入っても、正直に申告や調査に応じないなど監督行政に支障が出る恐れがある」と説明する。