錦織圭が自己最高世界9位というランキングを勝ち得たのは、1大会ずつポイントを積み上げたからにほかならない。しかし、彼の関心は数字の計算にはない。彼を突き動かすのは、シンプルな競争原理だ。上位の選手を倒せば、それだけ自分がのし上がれる――錦織はそんな野性の論理に従って、上位との直接対決で一人一人倒しながら、目標である世界ランクひと桁を達成しようと考えてきた。 昨年の世界ランク10位以内の選手との対戦成績は2勝7敗だった。不満の残る結果だろう。昨年のシーズンオフに『Number845号』で行なったインタビューでは「トップ10の選手にどれだけ勝てるかが課題です」と話している。 今シーズン、トップ10との対戦成績は4勝4敗(全米開幕時)まで改善された。その頑張りが、自己最高位更新につながったと見て間違いない。 立ち上がりから急襲をかけた錦織。 錦織の“下克上”は、この全米でさらに勢いを増している。