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ブックマーク / honz.jp (20)

  • 『眠りつづける少女たち』 集団発生する〈謎の病〉の原因とは - HONZ

    スウェーデンのある地域でのこと。小学校低学年から10代後半までの子どもたちに、〈謎の病〉が発生している。子どもたちは最初、不安になりふさぎ込む。そして徐々に引きこもりはじめ、口数が減っていき、そのうちまったく話さなくなる。最後にはベッドで寝たきりとなり、最悪の場合、べもしなければ目も開かなくなってしまう。そうした子どもたちの数は、2015年から2016年の間だけでも、なんと169人に達している。「あきらめ症候群」と呼ばれるこの病は、では、どうして発生しているのだろうか。 書は、そのような〈謎の病〉の原因を神経科医が追ったものである。扱われているのはあきらめ症候群だけではない。カザフスタンのかつての鉱山町で発生した「眠り病」(第3章)や、キューバ駐在のアメリカ外交官の間で流行した「ハバナ症候群」(第5章)など、8つの章でおもに7つの病がとりあげられている。著者のオサリバンは、関係者へのイ

    『眠りつづける少女たち』 集団発生する〈謎の病〉の原因とは - HONZ
    death6coin
    death6coin 2023/05/25
    フィクションの冒頭みたいだ…
  • 『津久井やまゆり園「優生テロ事件」、その深層とその後』異常な犯罪者は異常な社会から生まれる - HONZ

    読むのにとても時間がかかったのは、著者が巨大な問いと格闘しているからかもしれない。戦後最悪ともされる凶悪事件を通して、私たちの社会の奥底で起きている変化をとらえた力作だ。 書は、神奈川県相模原市の障害者施設、津久井やまゆり園で、入所者と職員45名が殺傷された事件の深層に迫ったノンフィクションである。事件そのものを取材したは他にもあるが、書が類書と一線を画すのは、サブタイトルにある「戦争と福祉と優生思想」という視点だ。一見バラバラな3つの言葉は実は深いところでつながっている。それだけではない。著者の人生もまたこの事件と無関係ではなかった。 ノンフィクションのディープな読者は著者の名前に見覚えがあるかもしれない。著者には浅草で起きた短大生殺人事件に関する著作(『自閉症裁判 レッサーパンダ男の罪と罰』)がある。2001年、浅草で19歳の女性が見ず知らずの男に刺し殺されたこの事件は、男がレッ

    『津久井やまゆり園「優生テロ事件」、その深層とその後』異常な犯罪者は異常な社会から生まれる - HONZ
  • 『地図の物語』創造力の拡張 - HONZ

    住居の間取図を見て楽しめる人がいるように、地図を見てその先の光景に思いを巡らせ楽しめる人もいる。地図上から読み取れる地形や街、河川の形状などから、その場所や住む人間達を想像し、あたかも自分もそこにいるような思いを馳せれる心地よさがあるからだ。 書はナショナルジオグラフィックから出版された地図を纏めた一冊である。太古の地図から、空想世界の地図、大遠征や探検の地図、衛星写真の地図まで、人々がどのように世界を捉え、想像し、工夫し、活用してきたかを美しい図版でたどることができる。 冒頭に紹介された写真で目を見開いてしまった。マンモスの牙に描かれた「パブロフ図」。紀元前2万5000年とあるが実はこの図自体、地図かどうか今も議論がなされているそうだ。もし当に地図だとすれば、これまで最古と考えられてきた紀元前700~500年頃の古代バビロニアの粘土板(イラク出土)よりもずっと以前の制作物となる。地図

    『地図の物語』創造力の拡張 - HONZ
    death6coin
    death6coin 2022/12/22
    “紀元前2万5000年とあるが実はこの図自体、地図かどうか今も議論がなされているそうだ。もし本当に地図だとすれば、これまで最古と考えられてきた紀元前700~500年頃の古代バビロニアの粘土板(イラク出土)よりもずっ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
    death6coin
    death6coin 2020/01/03
    縄文時代の定住も似た感じのはず。気候変動に弱いが
  • 『土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話』 - HONZ

    書はデイビッド・モントゴメリー著“Growing a Revolution”の全訳であり、『土の文明史』『土と内臓』(ともに築地書館)に続く三部作の完結編である。三作はいずれも、人間社会とそれを包括する文明と環境を、「土」という共通の切り口で解読したものだ。 一作目『土の文明史』では、世界の文明の盛衰と土壌の関係を。世界中のさまざまな時代と地域を検証した著者は、土壌が文明の寿命を決定し、土を使い果たしたとき文明は滅亡するという結論に達した。現代文明においても、農業生産性を上げるために化学肥料や農薬、機械力を集中的に投入するほど、土壌は疲弊し、やがては生産に適さなくなる。しかし化学製品の投入量を抑え、土壌肥沃度を高めながら、今後の人口増加に対処して糧を増産するような方向へと転換することは可能なのだろうか。われわれの文明が滅亡を回避するための道として、土の扱いを変えることを提唱しながらも、

    『土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話』 - HONZ
    death6coin
    death6coin 2018/08/31
    水兵・リーベ・僕の船
  • 『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』地域型武装組織から国際テロ組織への変貌 - HONZ

    2014年、ナイジェリアで学校の寄宿舎が武装した男たちに襲われ、200人以上の少女が誘拐された事件を覚えている人も多いであろう。事件後、インターネットでイスラーム過激派組織「ボコ・ハラム」が犯行声明を出し、その動画の一部は日のメディアでも取り上げられた。組織のリーダーを名のるアブバカル・シュカウという男が誘拐した少女たちを奴隷として売り飛ばすと宣言。 200人以上の少女たちが一度に誘拐されるという衝撃性と被害者たちを奴隷として扱うという前近代的な所業、そして新たに台頭したイスラーム過激派によるテロ事件という話題性により、世界中で大きく報道された。大きな内戦や虐殺事件が起きてもそのほとんどが、先進諸国で伝えられる事のないアフリカ事件としては異例の事である。 アフリカではルワンダの虐殺事件をはじめ、様々な内戦や武装ゲリラによる凄惨な事件が続いてきた。しかし、先進諸国でこれらの事件が大きく報

    『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』地域型武装組織から国際テロ組織への変貌 - HONZ
    death6coin
    death6coin 2017/08/18
    前段までの解説で終わり。続きは本書で
  • 『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ - HONZ

    書店内でいやでも目を引く、虫取り網をかまえこちらを凝視する全身緑色のバッタ男の表紙。キワモノ臭全開の書だが、この著者はれっきとした博士、それも、世界の第一線で活躍する「バッタ博士」である。書はバッタ博士こと前野ウルド浩太郎博士が人生を賭けてバッタのアフリカに乗り込み、そこで繰り広げた死闘を余すことなく綴った渾身の一冊だ。 「死闘」と書くと「また大袈裟な」と思われるかもしれない。だが著者が経験したのは、まぎれもない死闘だ。あやうく地雷の埋まった地帯に足を踏み入れそうになったり、夜中に砂漠の真ん中で迷子になったり、「刺されると死ぬことのある」サソリに実際に刺されたりと、デンジャーのオンパレードである。 なぜ、そこまでの危険を冒さねばならなかったのか。油田を掘り当てるためでも、埋蔵金を発掘するためでもない。そう。すべては「バッタのため」である。 昆虫学者に対する世間のイメージは「虫が好き

    『バッタを倒しにアフリカへ』ストイックすぎる狂気の博士エッセイ - HONZ
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    death6coin 2017/05/20
    「さらに、バッタ研究を円滑に進めるために、裏金ならぬ「裏ヤギ」としてヤギ1頭を仲間にプレゼントする」 ウシは難しかったのか、でもセコい
  • 『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ

    ニワトリ無くして、人類無し! もし世界からニワトリが消えたなら? きっと各地でパニックが起きるに違いない。鶏肉は牛肉・豚肉などと比べて国際的な生産・消費量が急増しており、とりわけ新興国・途上国での需要がぐんと伸びている。安価で栄養価の高い肉や卵は、多くの庶民の健康を陰で支えてきた。 その膨大な加工品も含めて、人類にとってますます不可欠な材となり、成長する巨大都市のエネルギー源にもなっている。 もし私たちが他の惑星へ移住する時がきたならば、最も重要なタンパク源としてニワトリをまず同行させるだろう。実際、NASAはニワトリが惑星間旅行に耐えられるかどうかの実験をしており、可能と結論づけている。 材だけではない。インフルエンザの世界的流行をい止めるのにも、ニワトリは重要な役割を担っている。インフルエンザワクチンを作る入れ物として、卵が使われているのだ。 「宇宙船よりも複雑な構造」を持つ卵

    『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ
    death6coin
    death6coin 2016/11/18
    ニワトリにはとりえがある。東南アジアから太平洋に漕ぎ出したオセアニアの航海者にとって鶏は、豚・タロイモと並ぶ航海時に舟につむ三点セットだった。イースター島には豚が辿り着かなかったので貴重な蛋白源に
  • 『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ

    「ディストピア」とはユートピアの反対語。理想郷じゃない場所のことだ。「日スゴイ」ならユートピアなんじゃないの?と思いながら読みはじめると、戦時下に行われたプロパガンダによって洗脳された日人の姿に戦慄させられる。言葉の力は強大だ、プラスに働いてもマイナスでも。 書には昭和初期から終戦までに出版された、当時の「日スゴイ」の中から「日主義」「礼儀」「勤労」など、現代にも通ずる日礼讃キーワードごとに、膨大なを吟味していく。こんなことが大真面目に語られていたかと驚くばかりである。 そもそも「日スゴイ」のネタの原型はどこにあるのか。探っていくと見つかったのは週刊新潮の版元、新潮社が出していた月刊総合雑誌「日の出」であったのだ。 満州事変を契機とする日の国際連盟脱退を受けた「日の出」1933年10月号には「世界に輝く日の偉さはこゝだ」という特別付録が付いていた。地球上に全く孤立無援

    『「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜』最近、再び増殖中 - HONZ
  • 『メソポタミアとインダスのあいだ 知られざる海洋の古代文明』 - HONZ

    僕が歴史を好きになったのは、間違いなく中央公論社の「世界の歴史(旧版、16巻+別巻)」を読んだことがきっかけだった。世界最古の文明、シュメールから始まる悠久の物語に中学生の胸が高鳴ったことをよく覚えている。書は、農産物こそ豊富だったが木材、石材、金属などの必要物資に欠けていたメソポタミアになぜ世界最古の文明が誕生したのか、その秘密を交易ネットワークから解き明かした野心作である。 「四大文明」は「御三家」や「七福神」のようなもので教育者による思いつきに過ぎない、との挑戦的なゴングが鳴る。過去の研究の多くは、古代文明の起源を、灌漑農耕による生産性の飛躍的な向上、余剰の蓄積、労働力の集中と社会的・政治的ヒエラルキーの確立などの面から説明してきたが、何ゆえ文明がこの地に興らざるを得なかったのかという必然性を説明していない、と著者は指摘する。 そして交易を生業とした非農耕文明に目を向ける。メソポタ

    『メソポタミアとインダスのあいだ 知られざる海洋の古代文明』 - HONZ
    death6coin
    death6coin 2016/02/21
    でも、イスラム以前の歴史だからイラン本土ではタブー扱いなんでしょ?/著者の後藤健氏はNHKの四大文明でインダス文明を担当していた人だ
  • 『コーランには本当は何が書かれていたか?』 - HONZ

    イスラムを深く知るためには、「コーラン」を避けて通ることができない。ジハードで死ぬと、楽園の72人の乙女という報酬があると書かれているのは当か? そして過激派たちによってどのように曲解され、利用されてきたのか? 今あらためて問われる、コーランに書かれている内容の質。(HONZ編集部) 書はカーラ・パワー(Carla Power)著If the Oceans Were Ink――An Unlikely Friendship and a Journey to the Heart of the Quran(『たとえ海がインクであっても――奇妙な友情とコーランの心髄への旅』)(2015年 ヘンリーホルト刊)の邦訳です。 副題にある「奇妙な友情」とは、著者である気鋭のアメリカ人女性ジャーナリスト、カーラ・パワーと、書における彼女の対話の相手、イスラム学者のモハンマド・アクラム・ナドウィー師と

    『コーランには本当は何が書かれていたか?』 - HONZ
  • 『奴隷のしつけ方』奴隷を中州に捨てるべからず - HONZ

    『奴隷のしつけ方』と衝撃的なタイトルだ。著者はマルクス・シドニウス・ファルクスというようだ。古典なのだろうか。書を手に取り、パラパラとページをめくると違和感を覚える。マルクス・シドニウス・ファルクスとは何者なのか。記憶の糸を手繰る。しかし、思い出せない。書の帯には「何代にもわたって奴隷を使い続けてきたローマ貴族の家に生まれる。」とある。書店でスマートフォンを取りだし、検索してみる。ウィキペディアでも見つからない。謎は深まる。 答えを求めてページをめくる。翻訳者のあとがきを読んだとき、謎が解けた。 当の著者はジェリー・トナーという男だ。解説者として表紙に名前がある。ケンブリッジ大学の古典学研究者のようだ。そう、著者とされるマルクス・シドニウス・ファルクスとは架空の人物だ。書は古代ローマ帝国時代の奴隷という存在がどのようなものであったかを、架空の人物に語らせ、各章の末尾に物の著者トナ

    『奴隷のしつけ方』奴隷を中州に捨てるべからず - HONZ
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    death6coin 2015/06/19
    どうれい、読んでみるか
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    お金0.0 / ビットコインが★なくなりました』第9話 2018年09月28日 あなたは1000万円盗まれたらどうしますか? 役者を目指す若者「出野達也」は、思いつきで仮想通貨取引を始めた。 家族に300万円を借金して、全額投資。 瞬く間に増えるお金、豪遊に次ぐ豪遊─...

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    death6coin 2014/07/31
    「家族や職場などの人間関係が極めて希薄で、社会的地位もなく、どんな犯罪を犯そうとも、親族や友人などに迷惑を掛けることがない人物」 弟さんが自殺したそうですね・・・
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『美味しんぼ』における山岡士郎が残した功績を考える (其の二) 2018年09月30日 『この記事を書いたのは誰だーーー!!』 どうもみなさんこんにちは。苦し紛れで書いた『美味しんぼ』レビューがなぜか、マンガ新聞の週間レビューランキングに入っていて驚いています。 しかしながら「なら、...

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    death6coin 2014/05/21
    拙者も昔感想を書いたでござるよ、ニンニン http://blog.livedoor.jp/death6coin/archives/51859550.html
  • 捏造を知るにはこれを読め! 『背信の科学者たち』の緊急再版を訴える⇒再販が決定しました! - HONZ

    『背信の科学者たち』、この刺激的なタイトルのが化学同人から出版されたのは四半世紀前。1988年のことである。かけだし研究者であったころにこのを読んだ。驚いた。捏造をはじめとする論文不正を中心に、科学者のダークな事件をあらいだし、その欺瞞から科学をとらえなおそうという試みである。最初におことわりしておくが、この、後に講談社ブルーバックスとして出版されているが、いまは絶版になっている。 科学というのは、基が正直ベース。性善説にのっとった営みである。こういったことと自分はまったく無縁だと思っていた。まさか、10年後に捏造事件に巻き込まれるとは夢にも思っていなかった。そして、今回のSTAP細胞騒動である。 STAP細胞について、直接は関係していない。しかし、主人公以外の登場人物は、論文調査委員会のメンバーも含めて、個人的に知っている人ばかりである。そして、専門領域が近いこともあってか、ある

    捏造を知るにはこれを読め! 『背信の科学者たち』の緊急再版を訴える⇒再販が決定しました! - HONZ
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    death6coin 2014/04/14
    サマーリン博士をサラリーマン博士と読んで、そりゃサラリーマン化すれば成果主義で追い詰められて捏造もするよなと思った。一部自爆営業と連続している。アマチュアだけどパーシバル・ローウェルの例もお忘れなく。
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    10/15(月)「先の見えないネット時代のマンガ作りを気鋭の原作... 2018年10月01日 *イベントは、マンガ新聞社が運営するオンラインサロン「ネットマンガラボ」のイベントです。サロンメンバーは無料で、メンバー以外の方は、有償で一般参加が可能です。 今回のイベントは、コルク佐渡島...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
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    death6coin 2014/04/02
    「例えば、物語が紀元前の地中海における歴史や民族問題を取り扱っている点や、主人公が英雄として知られている人物ではないという点など。」 あのーエウメネスはプルタルコス英雄伝に取り上げられる人物なんですが
  • 『リヒトホーフェン日本滞在記―ドイツ人地理学者の観た幕末明治』by 出口 治明 - HONZ

    長い間、鎖国の殻に閉じ籠っていた幕末明治期の日は、当時わが国を訪れた外国人の恰好の好奇心の対象となった。彼らは実に多くの著述を残した。僕が覚えている「名作」だけでも軽く10指近くになる。オールコック「大君の都」、ハリス「日滞在記」、イザベラ・バード「日奥地紀行」、アーネスト・サトウ「外交官の見た明治維新」、ヒュースケン「日日記」、モース「日その日その日」、ケンベル「江戸参府旅行日記」、等々。 また、これらの合せ鏡として、渡辺京二の「逝きし世の面影」という忘れ難い「名作」も生まれた。このように、類書はもう十分読んだはずなのに、なぜ書を手に取ったのか。著者が「シルクロード」を「発見・命名」したあの大地理学者、リヒトホーフェンだったからに他ならない。 書は二部に分かれている。第1部「使節団旅行日記1860/61」は、著者がプロイセン政府が派遣した通商使節団の団員として、江戸に、短期

    『リヒトホーフェン日本滞在記―ドイツ人地理学者の観た幕末明治』by 出口 治明 - HONZ
  • 『インダス文明の謎』 大河文明ではないインダス - HONZ

    世界四大文明といえば? 義務教育時代の記憶を掘り起こせば、センター試験で地理を選択した理系の私でも、エジプト文明、メソポタミア文明、黄河文明、そしてインダス文明の名を辛うじてあげられる。この“四大”文明というくくり方には様々な異論もあるようだが(2009年出版の『もういちど読む山川世界史』にも「四大文明」という表現はみられない)、大河に支えられて発達した初期文明としてこれらを認識している方は多いはずだ。 それでは、インダス文明について何か具体的にイメージできるものはあるだろうか。モヘンジョダロ、ハラッパー遺跡以外になにも思いつかなくても無理はない。下の数字はGoogle検索によるヒット件数(2013年11月10日現在)だが、インダス文明は四大文明の中で最低の数字を示す、日人にとって最もマイナーな存在といえるからだ。 エジプト文明:1,930,000 黄河文明:512,000 メソポタミア

    『インダス文明の謎』 大河文明ではないインダス - HONZ
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    death6coin 2013/11/24
    ガッガル・ハークラー川への言及はないのかな?
  • 『古代道路の謎』新刊超速レビュー - HONZ

    1995年、東京都国分寺市で長さ340mの幅12mの道路が発掘された。造られた時代は約1300年前の飛鳥時代。そして驚くべきことに、この巨大道路は寸分の狂いもなく一直線に造られていたのである。 その後の調査の結果、現在では、7世紀ごろには日中を張り巡らす巨大道路網が建設されていたことが判明している。東北から九州までの長さ約6300kmもの距離を、最大幅30mで敷設するというまさに巨大道路だ。田中角栄議員立法により実行された1966年の高速道路計画は6500kmであるから、それと同じ規模の距離をより幅広で建設していたことになる。 いったい誰がいつ何のためにそんな巨大プロジェクトを遂行したのか。驚くべきことに、これほど巨大プロジェクトにも関わらず、実はこの国家的規模の大規模事業がなされた理由はまだ正確に分かっていない。文献史料には何も記されていないのである。書はそんな「謎の巨大国家プロジェ

    『古代道路の謎』新刊超速レビュー - HONZ
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    death6coin 2013/04/14
    ペルシアの王の道もお忘れなく
  • 『古代日本の超技術』を年の初めに - HONZ

    毎年、初詣などで神社仏閣系の場所を訪れると、心なしかほっとした気分になる。めまぐるしい変化にさらされている昨今、何年も変わらぬ佇まいを見るということは落ち着くものだ。 世界最古の木造建築である法隆寺五重塔をはじめ、日には古代からの木造建築が、今でもたくさん現存している。周辺の建物が様変わりしていく中、なぜこれほどもの長い間、これらの建築物は風雪に耐え抜くことができたのか。 答えの一つに、「古代人」の技術が「現代人」の技術を上回る要素を持っていたということが挙げられる。そんな馬鹿なと思うかもしれないが、紛れもない事実なのだ。書はそんな、1000年を耐えぬいた古代人たちの技術や思想を紹介した1冊である。 たとえば釘。現代の釘は外に出しておくと10年も経たないうちに真っ赤に錆びてしまうが、飛鳥時代の釘はおよそ1300年ものあいだ新品同様の状態を保っており、この先1000年使っても大丈夫と言わ

    『古代日本の超技術』を年の初めに - HONZ
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