■精神を乱し、性欲増す「ターマシク」 伝統医学アーユルベーダでは、欲求を抑え、精神を高めて調和をもたらすとされる食べ物(一部の野菜や小麦、米、果物)を「サートビク」と呼ぶ。料理研究家のアヌーティ・ビシャルさんは「精神性や知識を重視するバラモン(カースト最上層・司祭)には菜食が必要とされた」とみる。 一方、生き物を殺して得られる肉類などを「ターマシク」といい、人の精神を乱し、怠惰や攻撃性、性欲を増す食べ物と考えられている。その語源は「暗黒」。歴史家のプシュペシュ・パントさん(74)は「動物の肉を食べると性欲が高まり、思考を邪魔する、というのが『暗黒』を体内に取り入れるという意味だった」という。「バラモンは自分たちの食が最上のものだという神話を書き残し、人々はそれを誤解したのです」 食についての研究を続けるプシュペシュ・パント氏=ニューデリー、奈良部健撮影 ■魚食べる「ピュアな菜食主義者」 ベ