小学校の頃、何を食べても美味しかった 半ドンに父親が作った焼きそばが好物だった 外食で新しい味に出会うたび、親に世界に感謝する時分だった 中学生の頃、味より量に傾き始めた 部活帰りに寄っては食べる、近所のパフェが美味しかった 身体も胃袋も大きくなって、幸せ詰まる時分だった 高校生の頃、さらに量へと傾倒した たらふく入る胃袋抱えて、弁当と学食を蹂躙し尽くした 受験の前に先生の奢ってくれた立ち食い蕎麦 少し物足りなかったけれど、不思議と身体が暖かくなって 今までの中で一番うまい蕎麦だった 大学生の頃、食は形式的なものになった ただ急いで腹を満たせば良い、それだけの行為に成り果てた 9時から2時まで研究に没頭して、論文が書き終わった時にはもはや味覚なんて消え去っていて だけれどここを抜ければ、就職できれば またすぐに飯の味が戻るものだと思っていた そうして、社会人になって、飯の味がしない 大学生