うつむきながら流した悔し涙が、1年の時を経てようやくうれし涙になった。 第42回東日本バレーボール大学選手権大会の男子決勝、早稲田大学―中央大学。24-22、2点のリードを得た早稲田がマッチポイントを握ったが、その2点が決してセーフティーリードではないことは、誰よりも知っていた。 同じ2点を取り切れず敗れた悔しさをかみ締めるように。セッターの前田凌吾(2年、清風)は大学入学後初めてのセンターコートで優勝を決める1点を、迷わず前衛レフトの水町泰杜(4年、鎮西)に託した。 昨年末の全日本インカレでは、同じように2点をリードしていながら相手ブロックに止められ、準決勝で筑波大学に敗れた。その時も、そしてちょうど1年前の東日本インカレ準決勝で筑波大に敗れた直後も、前田は泣いていた。 「僕のせいです。僕のトスが悪いから勝てない。僕が上げたら、勝てないんじゃないか、って」 その肩を抱き、「トスのせいでも