キレのある、名品。 三代続く長澤製作所は、銅、真鍮を主軸に、銀やアルミの加工も行うオールラウンドの鍛金工房だ。工房には金属の板に形を与え、文様を刻んでいく大小の様々な道具がずらりと並ぶ。鈍く光る鎚、焼鈍するためのバーナー、金属の表面を剥くために希硫酸が満たされた水槽。力強く、無骨な道具類だが、これを操る手は繊細だ。長澤製作所の看板商品である、銅製急須。急須そのものの端麗さとともに、その注ぎ口の切れの良さをはじめとした実用性は、名工と称された初代・長澤金治郎さんから当代まで確かに受け継がれている。特に当代の利久さんは、当人が”神経質なくらい”というほど、美しさと機能にこだわりものづくりを行っている。時の移ろいを表現した「古美の色」は、利久さんが苦心の末に辿り着いた表現で多くの人の心をつかんでいる。時に初代がつくった銅製急須が修理に持ち込まれることもある。それほど長く愛着を持って使える名品を、