ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (14)

  • 移民は高卒以下の給料を引き上げた - himaginary’s diary

    という趣旨のNBER論文が上がっている(H/T タイラー・コーエン)。論文のタイトルは「Immigration's Effect on US Wages and Employment Redux」で、著者はAlessandro Caiumi(UCデービス)、Giovanni Peri(同)。 以下はエドワード・コナードによるまとめ記事における3つの要点。 新たな移民が大卒に集中していることと、大卒と非大卒の間の相補性により、2000-2019年の移民流入は、高卒以下の学歴を持つ在来市民の賃金の伸びに1.7%から2.6%寄与した。 このグループの実質賃金の伸びが2000-2019年に5%から6%のマイナスだったことを考えると、顕著な押し上げ効果と言える。 大卒の移民が大量に流入したにもかかわらず、移民と在来市民との間の相補性により、大卒の人における競争効果の大半は緩和ないし逆転した。 その結

    移民は高卒以下の給料を引き上げた - himaginary’s diary
  • 金融危機の不可思議な持続性 - himaginary’s diary

    というNBER論文が上がっている。原題は「The Puzzling Persistence of Financial Crises」で、著者はCharles W. Calomiris(コロンビア大)、Matthew S. Jaremski(ユタ州立大)。 以下はその要旨。 The high social costs of financial crises imply that economists, policymakers, businesses, and households have a tremendous incentive to understand, and try to prevent them. And yet, so far we have failed to learn how to avoid them. In this article, we take a nov

    金融危機の不可思議な持続性 - himaginary’s diary
  • 航空事故とフォーク定理 - himaginary’s diary

    今回の羽田の航空事故を巡り、事故の刑事責任の追及が自動車事故などに比べて緩やかなのはやはり納得できない、という声と、今後の安全性のためにはそれが当然、という現在の慣行を支持する主張が改めて持ち上がり、議論になっている。現在の慣行については、その日米比較を行ったこちらの服部健吾氏の論文が参照されることが多いようだが、同論文では現在の慣行を支持する論拠として、「萎縮効果(chilling effect)」が一つのキーワードになっている*1。そこで「chilling effect accident criminalize」で検索を掛けてみたところ、Flight Safety Foundation*2のPresident兼CEOのHassan Shahidiが2019年5月17日に書いた「Criminalizing Accidents and Incidents Threatens Aviatio

    航空事故とフォーク定理 - himaginary’s diary
  • ある支配的な国際通貨は別の国際通貨にどのように取って代わられるか?:新旧の実証結果 - himaginary’s diary

    というECB論文をMostly Economicsが紹介している。原題は「How is a leading international currency replaced by another? Old versus new evidence」で、著者はArnaud Mehl(ECB)、Marko Mlikota(ペンシルベニア大)、Ine Van Robays(ECB)。 以下はその冒頭。 This special feature reviews the evidence – both old and new – on how a leading international currency is replaced by another. The conventional historical narrative is that inertia in international curr

    ある支配的な国際通貨は別の国際通貨にどのように取って代わられるか?:新旧の実証結果 - himaginary’s diary
  • 米国の在宅勤務は過小推計されていた - himaginary’s diary

    という主旨のNBER論文をAdam Ozimekらが上げている(昨年3月時点のWP)。論文のタイトルは「How Many Americans Work Remotely? A Survey of Surveys and Their Measurement Issues」で、著者はErik Brynjolfsson(スタンフォード大)、John J. Horton(MIT)、Christos Makridis(スタンフォード大)、Alexandre Mas(プリンストン大)、Adam Ozimek(Economic Innovation Group)、Daniel Rock(ペンシルベニア大)、Hong-Yi TuYe(MIT)。 以下はその要旨。 Remote work surged during the Covid pandemic but there is disagreement a

    米国の在宅勤務は過小推計されていた - himaginary’s diary
  • 3つの一人当たりGDP - himaginary’s diary

    少し前に一人当たりGDPの国別ランキングに関するツイートが話題になったので、IMFのWEOデータベースのサイトからデータを落としてグラフを描いてみた。ここではアジアは日韓台、欧州は独仏伊、およびアングロサクソンの米英豪を対象とし、期間はデータの取れる1980-2027年とした(ただし、IMFの注意書きによれば、日は2016年、英伊は2021年、それ以外は2022年以降はIMFの推計値)。 ここで注意すべきは、WEOには3種類のドル建て一人当たりGDPが収録されている点である(それ以外に、実質と名目の自国建ての一人当たりGDPも収録されている)。上図では各国についてその3種類のドル建ての値を描画している。 一つは、上のグラフでは青線で描いた2017年時点の購買力平価ベースのドル建て一人当たりGDPである。換算レートの購買力平価を2017年という一時点に固定しているので、為替動向や各国と米国の

    3つの一人当たりGDP - himaginary’s diary
  • コロナ禍は学校でのいじめとサイバーいじめを共に中断させた - himaginary’s diary

    というNBER論文が少し前に上がっている。原題は「The COVID-19 Pandemic Disrupted Both School Bullying and Cyberbullying」で、著者はボストン大のAndrew Bacher-Hicks、Joshua Goodman、Jennifer G. Green、Melissa Holt。 以下はその要旨。 One-fifth of U.S. high school students report being bullied each year. We use internet search data for real-time tracking of bullying patterns as COVID-19 disrupted in-person schooling. We first show that, prepandemic

    コロナ禍は学校でのいじめとサイバーいじめを共に中断させた - himaginary’s diary
  • 8000億ドルの給与保護プログラム:資金はどこに流れ、なぜそこに流れたのか? - himaginary’s diary

    というNBER論文をAutorらが上げている。原題は「The $800 Billion Paycheck Protection Program: Where Did the Money Go and Why Did it Go There?」で、著者はDavid Autor(MIT)、David Cho(FRB)、Leland D. Crane(同)、Mita Goldar(独立研究者)、Byron Lutz(FRB)、Joshua K. Montes(同)、William B. Peterman(同)、David D. Ratner(同)、Daniel Villar Vallenas(同)Ahu Yildirmaz(コールリッジ・イニシアティブ)。 以下はその要旨。 The Paycheck Protection Program (PPP) provided small business

    8000億ドルの給与保護プログラム:資金はどこに流れ、なぜそこに流れたのか? - himaginary’s diary
  • スイス国立銀行の記録的利益はいかに分配されるか? - himaginary’s diary

    スイス国立銀行が昨年大きな利益を上げ、その内訳と分配を同行のJean Studer銀行委員会委員長(President of the Bank Council)が27日に開かれた第110回定時株主総会で説明している(H/T Mostly Economics)。 以下は利益の概要。 スイスフランの上昇を防ぐ近年の金融政策による外貨購入で積み上がった外貨準備を、各種資産や通貨に分散投資しているが、過去1年にスイスフランが特にユーロに対して大きく減価したほか、世界の株式市場が上昇したため、記録的な利益が出た。 2017年末の外貨準備はおよそ7440億スイスフラン。 2017年のスイス国立銀行の利益は540億スイスフラン。 為替相場と株価による利益が430億 利子・配当収入が130億 金利上昇傾向に伴う債券下落でマイナス60億 外貨準備のポジションによる利益は計500億 保有する金の評価益が30億

    スイス国立銀行の記録的利益はいかに分配されるか? - himaginary’s diary
  • オブズフェルド「消費税はやはり引き上げよ」 - himaginary’s diary

    オブズフェルドらがIMFブログで、日における財政政策と金融政策の協調のあり方について論じている。おそらく後で日語版も追加されると思うので、要点のみピックアップしてみる。 財政と金融政策(および構造改革策)の協調は、包括性(相乗効果が存分に発揮されること)と整合性(共通の目標へのコミットメントによる長期予想の安定)の2つがポイント。 日の金融政策の低インフレ対策は、財政政策の非整合性――短期的な金融政策補助の必要性と、中期的な公的債務削減の重要性――によって妨げられてきた。 FTPLは消費者の政策予想に関して危うい仮定に立脚しており、国債が安全資産の地位を失って金融政策が財政の支払いを保証する、という政策の信頼性を損なう事態に陥る危険性を秘めている、 消費税の二度に渡る延期は、整合性と信頼性という点で財政政策の効果を弱めた。 オブズフェルドらの提案は以下の通り: 消費税は、財政の持続可

    オブズフェルド「消費税はやはり引き上げよ」 - himaginary’s diary
  • 仕事が無くなる時:製造業の衰退と男性の結婚市場価値の低下 - himaginary’s diary

    中国ショックが米国の製造業に与えた影響に関する研究で名を馳せたDavid Autor(MIT)、David Dorn(チューリッヒ大)、Gordon Hanson(UCサンディエゴ)のトリオが、今度は製造業の凋落が結婚市場に与えた影響を研究した表題のNBER論文を書いている(原題は「When Work Disappears: Manufacturing Decline and the Falling Marriage-Market Value of Men」;ungated版)。 以下はその要旨。 The structure of marriage and child-rearing in U.S. households has undergone two marked shifts in the last three decades: a steep decline in the pre

    仕事が無くなる時:製造業の衰退と男性の結婚市場価値の低下 - himaginary’s diary
  • 日本が最低賃金を3%引き上げたら - himaginary’s diary

    という分析を行った記事がIMFブログに上がっている(H/T Economist's View)*1。この記事についてはIMFによる邦訳も用意されているので、分析結果についての文章をその邦訳と合わせて引用してみる。 Impact of the 3 percent policyWe find that an increase in minimum wages in Japan not only affects those who are working below or at the current minimum wage level—which is estimated around 10 percent of the working population—but it also increases average wage growth through various channels.

    日本が最低賃金を3%引き上げたら - himaginary’s diary
  • 企業の高収益と長期停滞仮説 - himaginary’s diary

    について「Corporate profits are near record highs. Here's why that’s a problem.」と題した論説でサマーズが論じている(H/T Economist's View;初出はWaPoのWonkblog)。 記事の冒頭でサマーズは、米国企業の利益率が史上最高に近いこと、利益のうち資に回る割合も同様であること、および、トービンのqレシオやGDPに対する比率で見た株価も歴史的に見て高い水準にあることを記している。これらのことは、資の限界生産力、即ち、新規設備投資の見返りが非常に高いことを意味しており、一見すると、サマーズが主唱する長期停滞仮説と矛盾する。というのは、長期停滞仮説の中核には、投資が不活発であることが慢性的な総需要不足につながる、というストーリーがあるからである。 これについてサマーズは、安全資産の利率が低いこと、および

    企業の高収益と長期停滞仮説 - himaginary’s diary
  • 最低賃金を引き上げるべき理由 - himaginary’s diary

    引き続き最低賃金ネタ。Economist's ViewのMark Thomaが、theFiscalTimesで最低賃金引き上げを訴えている。 彼の論旨は概ね以下の通り。 労働市場での賃金決定は、経済学の教科書通りに労働者の限界生産力に等しくなるように決まるわけではなく、労働者と経営者の交渉力によって決まる。 労働者の生産性が上がって製品の付加価値が増えても、追加収入の大部分が経営側に渡ってしまった、というのが近年起きたことであり、それが格差拡大にもつながった。 労働者側の交渉力を引き上げる一つの方法は組合。だが、右派の政治家が制定した法律や、企業が海外もしくは組合の力が弱い州に移転する能力により、組合の力は損なわれている。 労働者側の交渉力を引き上げるもう一つの方法は最低賃金引き上げ。最低賃金労働者は元々交渉力が乏しいが、最低賃金引き上げはその乏しい交渉力の代わりとなる。 最低賃金引き上げ

    最低賃金を引き上げるべき理由 - himaginary’s diary
  • 1