グローバリゼーションの浸透で、日本の企業社会は、社員であっても経営者の視点を持たない人は生き残れない時代に突入した。その規範となるのが、世界中の現場で斬った張ったをやりながら、日々、様々な意思決定を行っている建築家――かと思いきや、隈研吾によると、それこそが歌舞伎役者なのだという。 現在、東京の歌舞伎座建て替えという世紀のプロジェクトに挑戦中の隈が、歌舞伎役者との交流から発見したのは、文化や伝統ではなく、何と「顧客サービス第一」の姿勢だった。 経営の原点とも言えるその姿勢は、次に、現場でのプロセスを真剣な思いで共有する人を得て、1つの成果につながっていく。その時、プロセスの楽しさと完成度は表裏一体。多忙で複雑な日常をこなす中で、隈が実感するのが、「プロセスが楽しい方が完成度も高くなる」という、仕事のシンプルな原理だ。 (取材構成は、清野由美=ジャーナリスト) (前回の「挫折って、人間に一番
向谷氏は日本を代表するフュージョンバンド、カシオペア(現在は活動休止中)のキーボード奏者として名が知れ渡る一方、電車の運転シミュレーターを製造・販売する株式会社音楽館(東京都世田谷区)の社長として大忙しの日々を送っている。このことは日経ビジネス2月13日号の「旗手たちのアリア~鉄道に安心捧げる音楽家」でも紹介したことがある。 その向谷氏がこの日、薄いグレーの制服・制帽を身にまとい車掌に扮して登場すると、鉄道ファンたちのカメラから一斉にフラッシュがたかれた。敬礼のポーズを決めながら、初めて会ったはずのファンたちと古くからの知り合いのように大声で語り合っている間に、発車時刻が到来。17時49分、定刻通り大阪駅のホームを滑り出した夢のブルトレの行き先は、かつてなかった路線となる上野駅。しかも、ここから日本海側へ遠回りする長旅だ。 夢を現実にする発想力とエネルギー 向谷氏が以前から親しくしているド
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 4月5日~8日まで米フロリダ州で開かれた男子ゴルフのビッグイベント、マスターズの一番の話題は、タイガー・ウッズが5度目の優勝を飾り、完全復活を遂げるかどうかだった。 きっかけはその2週間前、ウッズが実に2年半ぶりに米ツアーの試合で優勝したことだった。ウッズが勝てない期間のことを、米国のメディアはtitle drought/ tour drought/ win droughtなど、干ばつを意味するdroughtという言葉で表現していた。日本で記者が良い企画が思い浮かばないときに“ネタ枯れ”といったりするが、それと似た感覚だろうか。英語ネイティブスピーカーに確認すると、スランプ(slump)より期間が長く、深刻な印象を与える言葉だという。 いずれ
「40歳と45歳はたいして変わらないって思っていたけど、45歳と48歳はえらく違う! まさしく人生の岐路! あ~、なんだかもう、って感じよ」 これまでにも40代のオッサン世代の“嘆き”や“迷い”を、幾度となく取り上げてきたが、今回はオッサンではなく、オバ…、いやいや、某メーカーに勤める大学時代の先輩(48歳の女性、バツイチ、子供なし)の事例を紹介しよう。 っと、恐らくこの時点で、「おいおい、どうして男性の時はためらうことなくオッサンって書くのに、女性相手だとオバサンと、ストレートに書かないのか!」などと鼻息を荒くしている方もいらっしゃるかもしれませんが、特段の理由はありません。なんとなく…、私自身が単に個人的に、この女性、つまり先輩に対して、オバサンと書けなかっただけです。どうかご容赦くださいませ。 久しぶりに彼女と再会したのは、年明け早々のこと。その時に真っ先に飛び出したのが、「48歳」
仮にあなたが、今のままではグローバル時代を生き抜くことが難しいとしよう。ならば、何をすれば生き抜けるだろうか? 英語を身につけること? IT(情報技術)ケイパビリティー? グローバル・マインド・セット? 問題解決力? ロジカルシンキング? クリエーティブシンキング? リーダーシップ? MBA(経営学修士号)? 留学? 海外駐在? コーチング? 早期選抜のファストトラックに乗ること? どれもが、その「何か」かもしれない。でも、あなたはそんなに暇ではない。暇があっても、そのための努力が続かないかもしれない。努力する気はあるが、やる気が続かないかもしれない…。 「あなた」を主語にして問いかけたが、これらはすべて私や私の知人が迷ってきたことにほかならない。だが、私は、そうした迷いはそのままにして、「違うアプローチ」も取っている。そして、どうもその違うアプローチの方がうまくいっている気がする。 違う
第2回で不動産の投資基準を示したので、第3回では不動産業者の騙しの手口を暴くことにしよう。不動産を誰から買うにしても、売ることに携わる人には自分が儲かるというインセンティブがある。仲介会社でも建物を建てた会社でも管理会社でも、売ったらその人達が儲かるようにできている。1億円の物件を仲介したら300万円の手数料が入るし、歩合給もたんまり付くのだから、何としても売りたい。たとえ、購入者が損すると分かっていてもだ。不動産投資家にとって味方はいないという前提に立った方がいい。以下のうそをあなたは見抜けるだろうか。 「利回り星人」のうそ 利回りが高い物件に投資したいと単純に考える人を「利回り星人」と呼ぶ。これを批判することで、低利回りの物件を斡旋したがる業者がいる。こうした会社は(高ではない)好利回りなどのあいまいな言葉を使う。確かに、高い利回り物件は手を出しにくい人が多いからこそ利回りが高いことが
(前回から読む) 誰も教えてくれないリスク・リターン 「不動産投資」に関連性の強い言葉をネット上で調べると、「怖い」「怖くない」が上位に出て来る。不動産投資は株のように多くの経験者がいるわけでもない。多額のローンを組んで行う投資でもあるので、自己破産リスクもある。それなのに、リスクとリターンについて正確な理解が進んでいない表れに他ならない。 不動産投資で失敗した人は多いが、本屋には「成功体験談」しか並ばない。「儲かる話」でないと本が売れないという事情や失敗した人はそもそも本を書かないという面もあるのだろうが、リスクを教えてくれない本を読んでも、リスク・リターンの対処法が分かるわけがない。 不動産業者のほとんどはその物件がどのくらい損得を出すかを知らないもしくは教えない。彼らは契約が成立すれば仲介手数料が入るので、買主が儲かろうが損しようが知ったことではない。成約に到ればいいと考えると、情報
「不動産と心中するつもりだろうか?」 不動産投資はからくりに満ちている。儲かるように見せかけることができるので、騙される人が後を絶たない。例えば、不動産投資のキャッシュフローは、誰でも初年度が最も儲かる。しかし、いずれマイナスになり、ローン返済に困るようになる。売りたくてもローン元本を上回らなければ売れない。そうなってからでは遅い。儲かっていないとは誰にも言えずに、時限爆弾が時を刻み始める。 しかし、この世界は騙される方が悪い。なぜなら、不動産投資はいつ終わるか分からない「ババ抜き」をやっているようなものだからだ。高く売り抜けたら、このゲームを終えることができる。最後にババを手元に残した人が大損して、最悪は自己破産することになる。相当な数の人が不動産投資をやっているので、これから自己破産者が続出することになる。そのXデーはいつ来るか分からないが、必ずやって来る。 私は不動産投資はやらない。
(前回から読む) 一人当たり国民総所得(GNI)が低水準である国の特徴は、高い絶対貧困率、短い平均寿命、高い乳児死亡率、低い就学率など、国民生活の上で様々な問題を抱えることにあり、サブサハラアフリカや南アジアの多くの国々が共有する悩みとなっています。北朝鮮でも最貧国が抱える問題を抱えているのでしょうか。今回はデータを用いつつこの点について検証していきます。 データが存在するものについて見ていきましょう。まず平均寿命です。 韓国の研究者が北朝鮮の人口センサスから導き出した数値で見ると、2008年で男性69.8歳、女性は72.7歳、合計で69.3歳です(注1)。15年前の1993年にはそれぞれ68.4歳、76.0歳、72.7歳であったため、平均寿命は短くなっています。なお北朝鮮の統計には不確実かつ意図的といった印象がありますが、人口センサスについてはかなり確度が高いと評価されています(注2)。
2010年夏に南米チリで起きた鉱山落盤事故は私たちの記憶に新しい。33人の作業員が69日もの間、地下深くに閉じ込められたが、1人の死者をも出すことなく奇跡の生還を果たした。当時の生還劇で、メディアを通して一躍世界的な英雄となった彼らだが、事故を境にして、一人ひとりの人生は大きく明暗を分けた。 33人のその後の人生に一体何が起きたのか。 鉱山の地下で、33人全員が知恵を出し合い、1つのチームとなって共に生存に尽力した様子は、リーダーシップやリスクマネジメントなどの視点から既に分析がなされている。だが、彼らが救出された後の人生――地下に閉じ込められていた日数よりももっと長い人生――についてはどうか。幸福感という観点から見ると、先の大震災後の私たちの社会にとっても多くの示唆が得られる。 今回は、英雄であった彼らのその後の明暗を伝えるジャーナリストらによるリポートから、1つのデータを取り上げてみた
いわゆる自動車教習所には読者の多くがお世話になったことだろう。自動車の普及と人口の増加に伴い、自動車教習所はこれまで増加の一途を辿ってきた。どこに行っても、教習所のバスが走り、若い生徒を送迎する光景はありふれていた。 これまで紹介してきた様々なサービス産業が直面している人口減少という問題に、自動車教習所も直面している。現在、自動車運転免許を取得する年齢層は一般的に20歳前後であり、高齢化以上に早く進んでいる若年人口の減少の影響をまともに受けている。特に地方では過疎化が進み、人口流出も激しい。それだけでなく、そもそも自動車を運転しないという若年層も増え始めている。 警察庁運転免許統計によると、新規の運転免許交付件数だけでなく、自動車教習所数も減少し続けている。教習所あたりの交付件数が減少し続けているということは、教習所の減少より速いスピードで交付件数が減り続けているということである。つまり、
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 乳児向け粉ミルク「明治ステップ」から、1キログラム当たり最高で30.8ベクレルの放射性セシウムが検出され、メーカーの明治(東京都)が、対象の40万缶の無償交換を始めたというニュース。福島県内にも衝撃が走った。 粉ミルクの検査は、厚労省が7月から8月にかけて、市販品25種類を対象に実施済みで、その検査では放射性セシウムは検出されなかったからだ。さらに今回、セシウムを最初に検出したのは、明治でもなく、国県など公的に検査を行っている行政側でもなく、震災以降活動を開始した、できたてほやほやのNPO(非営利団体)である「TEAM二本松」(佐々木道範理事長、福島県二本松市)だったからだ。福島県内をはじめ、全国各地で次々に市民放射能測定所が開所しており、市
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く