山田 久美 科学技術ジャーナリスト 早稲田大学教育学部数学科出身。都市銀行システム開発部を経て現職。2005年3月、東京理科大学大学院修了(技術経営修士)。サイエンス&テクノロジー、技術経営関連の記事を中心に執筆活動を行っている。 この著者の記事を見る
4月1日、東京都が先行して「排出量取引制度」を始める。日本初、世界で3番目のキャップ・アンド・トレード型だ。だが、今後の国の制度次第では、存在意義を問われかねない。 政府が動かないなら首都・東京が先に動く――。排出量取引制度導入の具体策を固められない政府を横目に、東京都が4月1日から日本初のキャップ・アンド・トレード型の排出量取引制度をスタートさせる。そこには、石原都政らしい気概がにじむ。 政府が3月12日に閣議決定した「地球温暖化対策基本法」には、排出量取引が盛り込まれたが、具体的な制度設計はまだ。温暖化ガスの総量削減を義務づけるキャップ・アンド・トレードには民主党内にも反対論があり、方向性は定まっていない。 東京都の新制度は、2005年に世界に先駆けて始まった欧州排出量取引制度「EU-ETS」や、2009年に開始した米国の北東部10州の「地球温暖化ガスイニシアチブ(RGGI)」に続く、
省エネ法や東京都の「環境確保条例」が改正され,電力を大量に消費する事業所は,2010年度から温室効果ガス排出の総量削減が義務づけられる。その結果,企業が自社のサーバーをデータセンター事業者に預ける動きが加速している。 だがサーバーを“放出”すれば,自社のグリーンITが完了すると考えるのは間違いだ。ユーザー企業と事業者が共にデータセンターの省エネ化を図っていくことが,これからのグリーンITになる。一方で,データセンターのエネルギー効率を評価する指標を国際標準化する動きが活発だ。データセンターを省エネ性能で格付けする時代がまもなくやって来る。 グリーンITの今後の方向性とデータセンター効率指標の標準化の現状について,野村総合研究所の椎野孝雄理事に聞いた。 最近のグリーンITの動きをどのように見ているか。 グリーンITには,IT機器自身の省エネ化を進める「Green of IT」と,ITを活用し
新政権の温暖化政策がいよいよ動き出した。環境省は,化石燃料の使用に課税する地球温暖化対策税(環境税)の2010年度導入を政府税制調査会に要望。「2020年に温暖化ガスを1990年比25%削減」の中期目標達成に向け,具体的な一歩を踏み出した。 新政権では,「地球温暖化対策税」と「排出量取引制度」の2つの制度設計を一体化して進める方針だ。前者は主に消費者を対象に,後者は主に企業を対象にする。地球温暖化対策税によって国民から広く浅く環境対策費を徴収し,太陽光発電など新エネルギーの普及や,省エネ設備導入などの対策費とする。さらにこれを原資として政府が排出権を購入し,必要とする企業にオークション(競売)方式で提供するというイメージである。結果的に,国内における温暖化対策コストを最小化することを狙う。 地球温暖化対策税は暫定税率廃止の「衣替え」? 地球温暖化対策税は今回の税制改正の目玉であり,その導入
グリーン・グリッドは、欧州のデータセンター業界に影響する政策・方針をまとめたガイドを公開した。今後のエネルギー政策のほか、既存および将来の規制、インセンティブ、自発的な取り組みの概要、改善への実践的な手法なども収録されている。 データセンターおよびビジネスコンピューティングにおけるエネルギーの効率化を推進するグリーン・グリッド(The Green Grid)は英国時間の10月20日、欧州のデータセンター業界に影響する政策・方針をまとめたガイド「The Green Grid Energy Policy Research For Data Centers」を公開した。 このガイドは、現在および近い将来の方針に関して、組織が把握しておくべき情報を提供するもの。フランス、ドイツ、オランダ、英国のデータセンター業界に影響する、既存ならびに将来のエネルギー政策がまとめられているほか、既存および将来の規
グリーンITアワード 2009は、社団法人電子情報技術産業協会などが参加するグリーンIT推進協議会が実施しているもので、昨年に続いて2回目。優れた省エネ効果を持つIT機器、ソフトウェア、サービス、ソリューションのほか、それらを活用して優れた省エネ効果を実現した提案などを表彰。「ITの省エネ」および「ITによる社会の省エネ」を両輪とする「グリーンIT」の取り組みを加速するのが狙い。 受賞者に表彰状が手渡された。写真はNTTデータおよびNTTファシリティーズ 記念の楯を受け取る受賞者。写真は横河電機の海堀周造社長 グリーンIT推進協議会の大坪文雄会長 表彰式では、「ITの省エネ」部門で経済産業大臣賞を受賞した「グリーンデータセンタサービス」のNTTデータおよびNTTファシリティーズ、「ITによる社会の省エネ」で経済産業大臣賞を受賞した「生産ラインにおけるエネルギー無駄ゼロへ導くIT活用」の横河
一般的なデータセンターのよくある風景に見えるだろうか。実は、そうではない。この写真は、コネティカット州サウスベリーにあるIBMのグリーン・イノベーション・データ・センターの半分を収めたものだ。ここで、同社の社内ITスタッフは、グリーン化の限界に挑んでいる。この施設では、いくつかのIBM社内アプリケーションをホストしており、莫大な金額に相当するIBMハードウェアはもちろん、最新のエネルギー効率化技術が詰め込まれている。 その1つがこの写真の右端に写っている。同社のハイエンド「IBM iDataPlex」サーバシステムのために設計された熱交換背面ドアだ。「Cool Blue」と呼ばれるこのシステムでは、ドアから冷水を循環させて、サーバのファンから排出される熱を冷却している。 提供:Martin LaMonica 一般的なデータセンターのよくある風景に見えるだろうか。実は、そうではない。この写真
人や街と共に生きるコンビニエンス・ストア。だからこそ、地球環境問題にも率先して臨み、その輪を顧客やビジネス・パートナーへと広げていく──全国規模のコンビニ・チェーンであるローソンは、業界平均より厳しい自主行動目標を掲げ、現在、全社を挙げて環境保全に取り組んでいる。本稿では、同社の次世代ITシステム「ローソン3.0」の構築プロジェクトの一環として展開される、さまざまなグリーンIT施策を通して、企業が環境保全という経営課題にいかに取り組むべきか、さらにはITがそれにどう貢献できるかについて考えてみたい。 CIO Magazine編集部 ● text by CIO Magazine 経営課題の1つとして、環境問題に挑む 社会的な影響が大きいコンビニ・チェーンだからこそ、果たすべき責任もまた大きい。ローソン 常務執行役員 CIO ITステーション ディレクターの横溝陽一氏は、「環境保全に向けて、ロ
ITシステムの投資効果を「環境」で測る,グリーンITを業務改革の切り札に──リコー 複合機の遠隔診断システムで年間1433トンのCO2排出量を削減 リコーは,主要なシステム開発プロジェクトについて,「環境」をIT投資効果を測る評価軸の一つとして加えた。「グリーンITによる環境負荷算出ガイド」を社内で作成,2009年8月から,ユーザー部門とシステム部門の担当者が共同で,システム導入に伴う環境負荷の事前評価体制を整えた。 同社ではIT投資を「インフラ型IT/S投資」と「プロジェクト型IT/S投資」の二つに分け,それぞれ別の考え方で管理している。インフラ型IT/S投資は一定の基準を設けて総額を管理する。IT機器の消費電力を減らすGreen of ITの考え方に近い。一方,プロジェクト型IT/S投資はプロジェクトごとに投資効果を測る。これはITを活用することによって業務を効率化し,CO2排出量を減
データセンターのエネルギー効率化に取り組むコンソーシアムであるThe Green Gridは8月31日、データセンターの冷却に利用可能な外気を試算できるオンラインツールを無料で公開した。同時に、同コンソーシアムの会員向けに高解像度のクーリングマップ(外気冷却マップ)日本版も公開した。 データセンターの冷却に利用可能な外気を試算できるオンラインツール 同ツールは、日本国内42ヵ所の地域で計測した気象データを基に、データセンターの冷却に利用可能な外気がを測定する。ツールで、データセンターが所在する地域に近い地名を選択して、PUE値、キロワット当たりの電気料金などを入力すると、そのデータセンターが年間で節約可能なエネルギー量と電力コストが計算される。また、水循環式エコノマイザを用いることで削減できるエネルギー情報も提供される。 クーリングマップは冷却機を使わずに、一定温度以下の外気冷却が可能な総
前回は,ICTの普及にともなって地球環境に及ぼす問題を中心に述べた。第2回の本稿では,ICTの活用による温室効果ガス(特にCO2)の削減取り組みである「Green by ICT」の具体的な活用シーンと削減効果の試算例,及びICT機器そのものの省電力化の取り組みである「Green of ICT」の事例を紹介する。 ICTが環境に与える影響には,「プラスの要因」と「マイナスの要因」がある。「マイナスの要因」の一つとして,ICTの普及にともなうエネルギー消費やCO2排出の増加があるが,これを削減するためには,ICT分野自体の省エネ化(Green of ICT)が必要である。一方,「プラスの要因(Green by ICT)」とは,ICTを利活用することにより,生産・消費・業務活動の飛躍的な効率化,交通代替や渋滞緩和等が可能となり,結果的にCO2排出削減に貢献することをいう。 ICTは必ずしもCO2
データセンターにかんするトピックは、今、IT業界で注目を集めるトピックの1つです。データセンター全体のエネルギー効率を改善する動きが盛んですが、その1つの方法として、これまでの交流給電に代わり、直流給電を用いようとする動きが活発化しています。 「グーグルの最新のデータセンターは非常識なほど進化している」というPublickeyのエントリが注目されていることからも明らかなように、最新最先端のデータセンターにかんするトピックは、今、IT業界で注目を集めるトピックの1つといえます。 構築よりも維持のコストをいかに削減するかがポイントとなる昨今のデータセンター事情。ブレードサーバなどの普及によってラック当たりの集積度が高まり、それとともにラック当たりの消費電力は急激に向上しています。グリーンITへの関心が高まっていることもあり、データセンター全体のエネルギー効率を改善する動きが盛んですが、その1つ
グリーングリッドは7月8日、記者会見を開催し、グローバルや日本における活動を報告した。会見では、新設されたエグゼクティブディレクターの職に就任したローレンス・バータル(Lawrence Vertal)氏が現況と今後の抱負などについて語った。 グリーングリッドはデータセンターやIT機器の省エネを推進する団体で、日本では2008年5月に設立された。バータル氏は冒頭、「私がエグゼクティブディレクターに就任して最初の仕事がこの記者会見だ。就任最初の仕事に日本を選ぶほど、グリーングリッドは日本に期待しているし、重要な拠点だと考えている」とコメント。現在、グリーングリッドが注力している点として、「データセンターデザインガイド」と「PUEやDCiEなどの指標の強化」を挙げた。 データセンターデザインガイドは、エネルギー効率の高いデータセンターの運営と構築するための指針。指標はPUEやDCiEなどが有名だ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く