これは新人時代のトラウマもある。25歳でデビューした私は、20代の頃、「仕事の話」としてメディア関係者に呼び出されては、延々と仕事に関係ない話を聞かされたり、二人っきりでやたらムーディーな店に連れて行かれたりした。口説いてきた大馬鹿野郎もいた。こっちは「仕事の話」と聞いているから行ってるのに、酔った相手は「仕事と関係なく話したい」などといった寝言をお抜かしになるのだ。仕事と関係なければ誰がお前なんかと会うか、というような相手に限ってそういう汚い手を使う。今思い出しても本当に悔しい。まごうことなき悪質なセクハラだが、20年前、そんなことはザラにあった。 それにしても、と思う。なぜ、一部の「おじさん」はこんなに会食が好きなのだろう。例えば出版関係者でも、「一面識もないのにご飯に誘ってくる女性」と会ったことは私の場合、一度もない。おそらく、「知らない相手から食事に誘われる」怖さを理解しているから