今年の8月17日に asahi.com に掲載された「軍都の風景2 南京大虐殺」という記事には南京大虐殺についての用語解説がついているのだが、驚くべきことにその大半は犠牲者数をめぐる“論争”についての記述に費やされている。 南京事件(南京大虐殺) 1937年12月、旧日本軍が南京で捕虜や市民の殺害、略奪に及んだとされる事件。中国側は、戦後の「南京軍事法廷」の判決などをもとに「犠牲者は30万人」と主張。日本の研究者の間では「約4万〜20万人」の説が多数だが、「虐殺はない」との意見も。外務省は「殺害や略奪は否定できないが、被害者数の認定は困難」との公式見解を出している。 書き手の意図がどうであれ、結果としてこうした記述は「犠牲者数が不明で、諸説ある」ことこそが南京事件に関して特筆すべきことである、と主張していることになる。例えば国際法の歴史という観点から言えば、事件当時外務大臣であった廣田弘毅