前回の「私見:白リン弾の問題点」で書かなかったことについて、ここでまとめておきます。 すでに説明しているように、白リン弾は「多目的」な砲弾です。発煙だけの目的に使用されるのではなく、焼夷兵器として使われてきた歴史があります。私は以前から戦記を読む内に、この事実を知り、当然のことだと思ってきました。 たとえば、映画「ワンス・アンド・フォーエバー」の原作本には、著者のハル・ムーア中佐が白リン弾を榴弾砲で北ベトナム軍に用い、大きな効果をあげたことが書かれています(角川文庫版・p223〜224)。映画にこの砲弾は登場しませんが、白リン手榴弾の誤操作によって米兵の頬に火がつき、燃える白リンを戦友がナイフで肉ごと切り取ろうとする場面があります。これは少量の白リンであっても、人体に着火できる能力があることを示しています。 この種の意見は他にいくつでも見つけられます。逆に、「白リン弾は役に立たない。何発撃