経済産業省の安井正也官房審議官が04年、使用済み核燃料を再処理せずそのまま捨てる「直接処分」のコスト試算の隠蔽(いんぺい)を指示した問題で、当時の内部調査で事情を聴かれたとされる25人のうち2人が取材に対し「事情聴取を受けずにいきなり処分された」と証言した。真相解明すべきなのに、ずさんな調査で早期幕引きを図った疑いがある。しかし、経産省は「既に徹底的な調査をした」として再調査しない方針で、隠蔽体質の根深さが浮かび上がった。【核燃サイクル取材班】 直接処分のコスト試算を巡っては、04年3月、参院予算委員会で社民党の福島瑞穂党首が「再処理しない場合のコストはいくらか」と質問し、経産省資源エネルギー庁の日下一正長官(当時)が「コスト試算はない」と答弁した。しかし同7月、直接処分の方が安価であるとの試算の存在をマスコミが一斉に報じたため経産省が職員25人を事情聴取し、同8月までに安井氏を含む計13