しばらく「中欧の旅」の連載や解散・総選挙についての話題はお休みして、憲法学や憲法研究者に対して執拗な論難を加えている篠田英朗氏(東京外国語大学教授、国際政治学)について長文の批判を行っておくことにしたい。篠田氏は『集団的自衛権の思想史――憲法九条と日米安保』(風行社、2016年、以下『思想史』という)および『ほんとうの憲法――戦後日本憲法学批判』(ちくま新書、2017年、以下『ほんとうの憲法』という)、さらに自身のブログ「「平和構築」を専門にする国際政治学者」などにおいて、憲法研究者に対する論難を続けているのだが、それは他分野からの憲法学への建設的な批判というものではなく、名指しされた当事者が反論するのもはばかれるような難癖に近いものが目立つ。主要打撃の方向はもっぱら「東大法学部出身の憲法学者たち」「東大法学部出身者たちを頂点とする「法律家共同体」」である。「ふりかかった火の粉は払わねばな