安楽死した長女エスターさんの写真や遺品を飾る棚の前で、娘の思い出を語るエレン・ブケマさん=2023年8月、オランダ中部ススト、宋光祐撮影 オランダは2002年、国として世界で初めて安楽死を合法化した。適用対象を身体的な苦痛や病を抱えた人に限定する国が多いなか、精神疾患も安楽死の正当な理由として認めている。 17歳から精神疾患で入退院 安楽死が認められ「解放」 8月上旬、中部スストに住むエレン・ブケマさん(63)を訪ねた。エレンさんは夫ロブさん(67)と4人の子どもを育てた。迎え入れてくれたリビングの棚には、2年前に33歳で亡くなった長女エスターさんの遺品が飾られていた。「娘にはどこかに閉じ込められている感覚がいつもあった。安楽死が認められてようやく解放された気持ちになったのです」 エレンさんはそう言って、安楽死の措置を2週間後に控えた頃に撮影したというエスターさんの写真を見せてくれた。朝焼