文/森山誉恵(NPO法人3keys代表理事) 近年、奨学金の充実化やひとり親家庭への児童扶養手当の充実化をはじめ、家庭の状況によらず子どもたちの権利を社会で保障する動きが少しずつ増えてきています。そんな中でも、「今までやってこなかった本人の責任」という言葉や、「どうせ支援したって無駄なことにお金使われる」という声をいまだに聞くことがあります。 私はこれまで300人近くの、虐待や貧困などで頼れる親や大人が少ない子どもたちを支援してきましたが、その中で意図して悪い方向に行く人は見たことがありません。自分の生い立ち以上に、必死に生きている子どもたちばかりで、いつも自分がいかにのんきに生きてきたか、恥ずかしくなるほどです。 私がいまの活動をはじめるきっかけにもなったひとりの男の子がいます。これは、NPO法人3keysを立ち上げる前、虐待や育児放棄などで親と暮らせない子どもたちがいるクラス児童養護施