1. それではリーマンショックが世界経済恐慌をもたらした原因は何だったのでしょうか。この点については米国をはじめとする世界のマスコミもウオール街に対する配慮もあってか、詳細な検討は全く行われていません。まず、2002年以降の米国などの金融バブルの制度的な原因は、20世紀末の金融自由化の流れの中で、1930年代の大恐慌の教訓から銀行と証券の業務を分離してきたグラススティーガル法が、1999年2月(当時の財務長官はサマーズ)に完全に廃止されたことにあります。そして、このような新しい金融制度の下で、2000年代に入ってグリーンスパン総裁の下で連銀が長期間金融緩和を続けたために、いわゆるインベストメントバンクが余剰資金を使って実需を伴わないマネーゲームに走ったことにあります。したがって、政策面では財務省と連銀に最大の原因があります。この点については別の機会に詳しく触れることにして、今回は2008年