昨年から続いたコロナ禍で、ひたすら自宅と仕事場を(徒歩で)往復する日々が続いたことで、今年は3冊の新刊を出すことができました。 『無理ゲー社会』と『裏道を行け ディストピア世界をHACKする』は、2019年の『上級国民/下級国民』と合わせて、いまの日本や世界で何が起きているかを論じた三部作になります。 産業革命と啓蒙主義から始まった近代を前期と後期に分けるなら、その分岐点は1960年代のカウンターカルチャーです。それ以前は(相対的に)貧しい社会で、誰もが人生に一度は戦争や内乱を体験していました。 ところが第二次世界大戦が終わり、先進国で「とてつもなくゆたかで平和な社会」が実現すると、生存への脅威がないまま成人する世代が(おそらく)人類史上はじめて登場します。彼ら/彼女たちが求めたのが「自分らしく生きる」ことで、この(人類史的には)奇妙奇天烈な価値観が、”セックス・ドラッグ・ロックンロール”