経済インサイド 長い沈黙を経て目の前に現れた男は、まるで何事もなかったかのように「お久しぶりです」と声をかけてきた。力強いまなざしから、身ぶり手ぶりを交え、論理的に話す姿は変わっていない。ただ、5年前に初めて会った時は、表情に疲れがにじんでいた。 東京・大手町にある金融系ベンチャー企業向けのフリースペース「FINOLAB(フィノラボ)」。いまは、そこを拠点に人工知能(AI)を使ったフィンテックを手がける「ジーフィット」共同代表という肩書を持つ。従業員20人ほどの小さな会社だ。 かつては、「夢の家電」の開発に取り組んだ経営者として知られた。2010年代、世界初の洗濯物自動折りたたみ機「ランドロイド」を開発し、世に送り出すはずだった。 大型冷蔵庫ほどの箱形の機械に衣類を放り込むと、AIとカメラが素材や形状、大きさなどを判別し、3本のロボットアームでつかんで折りたたむ。 開発したその人物こそ阪根
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