外国籍であることを理由に千葉市が生活保護申請を却下したのは違法だとして、同市に住むガーナ国籍のシアウ・ジョンソン・クワクさん(34)が生活保護法に基づく保護の開始を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は6日、外国人を生活保護の対象外とした一審千葉地裁判決を支持し、ジョンソンさんの控訴を棄却した。(加藤豊大)
交流サイト(SNS)の浸透を背景に、戦争は、人々の考え方の主体となる「脳」を巡る争い「認知戦」に発展しつつある。「人の脳が戦場になる」とは、どういうことなのか。ロシア・旧ソ連諸国を専門とする軍事研究家で、安全保障問題に詳しい小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター准教授(42)に聞いた。(聞き手・滝沢学) 認知戦 人の脳など「認知領域」を標的にした戦い。世論の誘導や敵対勢力の撹乱を狙う「情報戦」の一つ。マスメディアを通じたプロパガンダ(宣伝)の流布だけでなく、SNSなどで刺激的な情報発信を繰り返し、人の頭の中に直接働きかけて考え方を先鋭化させ、対立をあおって社会を弱体化させる。陸海空や宇宙、サイバー空間と並ぶ6番目の戦闘領域として「認知領域」が捉えられ、各国で研究が進む。日本では2022年の防衛白書で初めて「認知戦」の用語が登場した。
世界で最も身体拘束が行われている日本の精神科病院。厚生労働省では現在、拘束要件の見直しが不透明なまま進むが、精神科病院を束ねるドン・日本精神科病院協会(日精協)の山崎学会長(82)はどうとらえているのか。「こちら特報部」の単独インタビューに応じた山崎氏の言葉を詳報する。(木原育子) やまざき・まなぶ 2010年から日本精神科病院協会会長。22年5月の厚労省の私的検討会に突如、参考人として出席し、議論の風向きを変えるなど影響力が大きい。18年には協会の機関誌に「(患者への対応のため)精神科医にも拳銃を持たせてくれ」という部下の医師の発言を引用し、物議を醸した。安倍晋三元首相と親しかったことでも知られる。日本大医学部卒。
31日投開票の衆院選では、「安倍・菅政治」を継続するか転換するかも問われている。第2次安倍政権と菅政権の約9年間では、主権者である国民の理解を得ずに重要政策が進められるケースが相次いだ。十分な手間暇をかけて国民に説明し、納得を得ていくという民主主義から逸脱している。岸田文雄首相も現状を「民主主義の危機」と評した。どうすれば民主主義に基づく政治を取り戻せるのか―。 「民主主義とは何か」を自問してきた社会活動家の湯浅誠さん(52)は、かぎとなるのは「納得解」だと説く。納得解とは、必ずしも自分の思い通りにならなくても、みんなで十分に対話して調整した結果、合意に達した結論のこと。「民主主義とは、納得解をつくるプロセス」と解説する。 今は政治家に限らず、日本社会全体で、他者との間で納得解を見いだす文化が根付いていない。逆に言えば、「社会の価値観の根っこ」に、納得解を得るプロセスが定着していけば、政治
最低賃金(最賃)に近い低賃金で働く人の割合が最近10年ほどで倍増していることが、賃金に詳しい都留文科大の後藤道夫名誉教授の試算で分かった。最賃の全国平均の1.1倍以下で働く人の割合は2020年に14.2%となり、09年の7.5%から急伸した。非正規労働者や低賃金の正社員が増えたのが要因の1つで、コロナ禍が脆弱な雇用構造に追い打ちを掛けている。(山田晃史) 最低賃金 パートやアルバイトなど非正規労働者を含む全ての働く人に適用される賃金の下限額。都道府県ごとに時給で示され、下回った企業は罰金が科される。改定は毎年度あり、国の審議会が夏に引き上げ目安を示した後、都道府県の審議会が生活費の必要額や企業の支払い能力を考慮し決める。適用は10月ごろ。東京が1041円で最も高く、沖縄など最も低い県と221円の差がある。
権丈 だって、年金、医療、介護政策というのは、日夜、少子高齢化問題との格闘ですよ。例えば、年金の財政検証が五年に一度行われています。そこで試算される将来の給付額は、出生率、つまりは将来の労働力の数と賃金の水準、要するに労働力の質によって決まります。こうした関係は、医療、介護保険も同じです。 公的な年金、医療、介護という三つの制度は、自分の高齢期にずしんと重く集中する支出を若いうちから負担しておき、生涯の消費支出を平準化するという役割を果たしています。そうしたことは老齢年金だったら分かりやすいんですけど、医療でも六十五歳以上の人たちが医療費の六割ほどを使っていますし、介護だと98%を六十五歳以上の人が使っています。医療、介護、年金みんな同じですね。
政府は三十日の閣議で、社会保障と税の一体改革に関連し、消費税率を段階的に10%に引き上げることを中心とした税制改正法案を決める。一体改革の内容と国民生活への影響を点検する。
東京都北区のJR王子駅前のビル街にある「王子駅前公園」の一角で二月十九日早朝、ホームレスの男性が倒れていた。病院に救急搬送されたが、死亡。当日の二十三区の最低気温は氷点下二・六度。凍死だった。一カ月がたとうとしているが身元はまだ確認されていない。「珍しいことではない」ともいわれる。それでも確かにその男性だけの、その人だけの人生があった。 (岡村淳司) 「面白い人がいる」と聞いて、記者としてこの男性を訪ねたのは二〇〇九年九月。トイレとベンチしかない公園で、砕いたピーナツを使ってスズメを餌付けし、手に乗せるほど懐かせていた。 話しかけると、不況で仕事をリストラされたことや、生活苦で妻子に逃げられたことを、とつとつと話してくれた。苦労話ばかりなのに「今の暮らしに満足している」と穏やかに笑い、プレゼントしたたばこをうまそうにくゆらせた。 男性は塩原博志と名乗った。当時六十七歳。専門家に尋ねると「ス
野田佳彦首相が、埼玉県朝霞市で進んでいる国家公務員宿舎建設について、計画見直しを含めて検討する意向を示した。同宿舎建設はそもそもどういう計画で、何が問題になっているのか、整理した。 (三浦耕喜)
日本が直面する危機を乗り越えるには、いずれ国民負担増が避けられないことは理解する。それには行政の無駄を削ることが前提だが、野田佳彦首相の所信表明演説からは具体策が読み取れない。
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