単館公開にも関わらず大反響な『冷たい熱帯魚』を観たのだが、凶悪な映画だったよ。 なにが凶悪かっていうと、実際にあった犯罪を題材にしたとか、バラバラ死体が写りまくるとか、そういうことではない。この映画を鑑賞すると、価値館が少なからず変わる。死体をみると、笑みが漏れるようになる。実際、上映中の館内は爆笑の連続だった。皆、心の底から笑ってた。私も、もし今目の前にバラバラ死体が現れたら、大爆笑する自信がある。そのような、観客の価値観の転倒や書き換えを自然に促す部分が、この映画の凶悪さだと思ったよ。 役者も凶悪だ。 まず、映画を観た人誰しもがその名前をあげるでんでんが凄い 。 実のところでんでんは、役者として特別に上手いわけでも、滑舌が良いわけでもない。でも、そこが重要なところで、一回でんでんを心の中で「アリ」にしてしまうと、フーターズみたいな店員がいる熱帯魚屋も、籠絡されるエロ嫁も、警察にかけこま