一日平均乗降客数が100人台であるローカル線の駅前にある「パクチー銀行」が注目を集めている。東京湾に面する千葉県の内房エリアにある、本物の銀行跡地で行う「パクチー銀行」の活動の中心は、パクチーの種の“無担保融資”。同銀行の“頭取”を務める佐谷恭(さたに・きょう)さんは、2010年代に盛り上がって定着したパクチーブームの立役者だ。パクチーを軸に、無店舗の飲食営業、地域を活性化するランニングイベント、廃材を利用した内外装素材づくりの産業化など、多様な取り組みを通じて、人や地域をつなぐ。その活動を取材した。 千葉県南部、東京湾に臨む鋸南町(きょなんまち)は、ロープウェーのある鋸山(のこぎりやま)、高さ31メートルの大仏が有名な日本寺(にほんじ)などの人気スポットがある観光地である。 古くは、石橋山の戦いに敗れた源頼朝が再起をはかった地として知られる。江戸後期から明治期にかけては景色の美しい保田(