殺害されたジョージ・フロイドさんの似顔絵を掲げるデモ参加者。(6月10日、ニューヨーク) (Shutterstock) 「アイ・キャント・ブリーズ(息ができない)……プリーズ、ママ……」 男性は、絞り出すような声で何度も訴えた。彼の首には、警察官の膝が食い込んでいた。地面に押さえつけられた状態で断末魔の声を上げながら、約8分間にわたる拘束の末に、ジョージ・フロイドさん(46歳)は死亡した。 今年5月25日、米ミネソタ州ミネアポリスで起きた殺人事件だ。通行人によって撮影された動画は、SNSで一気に世界中に広がり、衝撃を与えた。米国市民は怒り、警察への抗議の声と黒人差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター」の声は、あっという間に全米各地の路上を埋め尽くした。一部では暴動も発生し、トランプ大統領が軍の出動を訴えるなど米国社会は騒然となった。3ヶ月がたつ今も、怒りの炎はおさまっていない。 私は、