「ナントカ直人がくれたのかと…」。岩手県陸前高田市の避難所で、真新しい赤いランドセルを目にした菅首相が、「伊達直人」にひっかけた悪い冗談を口にしたのは4月はじめだった。1カ月以上たっても記憶に残る。まさに“綸言汗のごとし”。責任ある立場の人が一度口にした言葉は汗と同じで、二度と体内には戻らない。 技量審査場所3日目、豪栄道に投げ飛ばされ初黒星を喫した把瑠都の「悪いけど遊びの場所」発言も、大関という立場の重さをまったくわかっていない。津波で泥だらけになったランドセルを手に悲しみにくれる被災者もいるのに、「ここでそれをいうか」と周囲を凍り付かせた首相に匹敵するKYぶりだ。 豪快な負けっぷりで、照れ隠しもあったのかもしれない。それでも「無料だから、たくさん見に来てくれるお客さんには悪いけど遊びの場所みたい。気合が入らない」とは絶対口にしてはいけない言葉だ。いま相撲協会がどういう立場に置かれ、無料