たまの休みに東京の下町を散歩して、「こういう古き良き昭和の香りがする家並みや風情を、いつまでも残してほしいなぁ」とつぶやいてみる。「火の用心」の拍子木の音を聞いて、古き良き日本の風物詩にしみじみとする。なにかと世知辛い現代だ。昔は風情があって、人々は品性や善意に満ちていた。もし、ひと昔前に生まれていたら、より豊かな人生が歩めたのかなぁ…なんて感傷に浸る日本人に、「もういいかげん【古き良き】という枕詞を使うのをやめてもらえませんか」と冷水をかけるのは、イタリア生まれの日本文化史研究家・パオロ・マッツァリーノ氏である。 日本通を自認する氏の著書『「昔はよかった」病』(新潮社)によると、「世の中のほとんどのものは、女房と畳のように、新しいほうがいい」。たまの不便なら楽しいけれど、毎日のこととなると、古いものは不快なだけ。東京の下町で「風情を残してほしい」と口にする清潔好きな日本人は、ミストサウナ