『選挙』『精神』などの「観察映画シリーズ」で知られる映画作家、 想田和弘さんによるコラム連載です。 ニューヨーク在住の想田さんが日々「観察」する、 社会のこと、日本のこと、そして映画や芸術のこと…。 月1回の連載でお届けします。 第44回 大学が社会の「お荷物」ではなく、「宝」である理由 アメリカに住んで、今年で23年になる。だが、住むのはいつもニューヨークで、それ以外のアメリカの街に住んだことがない。僕は車の運転があまり得意ではないし、歩いて生活するのが好きなので、アメリカでは免許も取得していない。だから大都市以外に住むなんて無理無理と、はなから決めてしまっていた。 ところがこの9月から、ミシガン州にある人口11万人の街・アナーバー市に、8ヶ月間だけだが住むことになった。ミシガン大学のマーク・ノーネス教授から、一緒にドキュメンタリー映画製作のクラスを教えないかと誘われ、いわゆる招聘教授と