世界的なベストセラー「21世紀の資本」の著者、トマ・ピケティ氏が来日し、日本のメディアはこぞってかれに「日本はどうすべきか」と聞いた。メディアの多くは、日本の実情をよく調べもせず、ひたすらピケティ先生のご託宣にすがる。自国のことなのに、なぜ外国人に自国のことを聞きたがるのか。まさか、全知全能の神様じゃあるまい。米国や欧州のメディアなら「それはどんな根拠があるのか」という具合に、突っ込みを入れるだろうに。 この現象は戦後70年、脈々として流れる「欧米崇拝」のようでもある。自然科学や技術の分野ではすぐれた成果をどんどん取り入れればよいのだが、経済など社会科学で外国人専門家の言説をそのまま日本に当てはめてよいはずはない。 経済の場合、日本は日本独自の伝統や文化に裏付けられた構造がある。それにアングロサクソン(米英)型の新自由主義を移植しようとしてきたのが、1990年代後半の橋本龍太郎政権による「