カナダ、エルズミア島のホッキョクグマ。(Photograph by Paul Nicklen, National Geographic Creative) 過去に猛威を振るった毒性物質PCBが、今も北極周辺で影響を及ぼし、ホッキョクグマのペニスの骨をもろくしていると、デンマークの研究者が学術誌『Environmental Research』2015年2月号に発表した。 PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつて変圧器から塗料まであらゆるものに使用され、世界中に無造作にばらまかれてきた化学物質。生物が食べると体内の脂肪組織に蓄積され、ガンの原因になるなど深刻な健康障害を引き起こす。日本では1970年代に使用が禁止されている。 PCBの影響を大きく受けるのは、食物連鎖の上位にいる動物だ。魚1匹に含まれるPCBはごく微量だが、アザラシは毎日たくさんの魚を食べ、そのアザラシはホッキョクグマに捕食される