東京。ビルが林立し喧騒が渦巻き、「旅情」とは無縁と思える大都会。だが実はビルとビルの隙間に、大通りの一本裏手に、風情漂う景色は意外と残っている。そこでは東京に住んでいても気づかなかった小さな発見や、見知らぬ人と言葉を交わす場面――「旅」を感じる瞬間に遭遇することも少なくない。気軽に日帰りできる東京や近郊の「スキマ」に潜む「旅」をご紹介しよう。 「流山旅情」「しあわせの流山焼」「流山銘菓 新撰組 誠」……。流鉄流山線の鰭ヶ崎(ひれがさき)駅前。東洋学園大学に続く道沿いの「流山せんべい」のご主人に教えられ細い路地に入り、上生菓子の店「美しまや」を訪ねると、流山名義の品を中心に菓子が並んでいた。ご主人は白い調理服、調理帽姿で満面の笑み、白い歯が覗(のぞ)く。店はもう創業から30年以上経(た)つという。 (2月24日)[全文へ] 首都圏きってのミニ路線…流鉄流山線途中下車(後編) (2月24日)