●震災後、購入広がる 現在の双葉町や飯舘村などにあたる旧相馬藩を中心に、当時の地形や自然などを描いた鳥瞰図(ちょうかんず)「海岸通り絵地図」。相馬市でレストランを営む佐久間善彦さん(54)が19年前に完成させた。いま、原発事故で避難を強いられた人たちが買い求め、望郷の思いを募らせている。 絵地図は縦68センチ、横120センチで、約5万分の1の縮尺。道や名所、旧跡などが丹念に描かれている。水彩絵の具で、浪江町ならコスモス、南相馬市小高区なら紅梅など、地名の周りに花を描いた。旧相馬藩の結びつきの強さを表すため、現在の市町村の境界はない。 佐久間さんは若いころから絵を描くのが好きで、「旧相馬藩の歴史や文化財をイラストでまとめてみたいと思ったのがきっかけ」。現地に足を運び、スケッチを重ねた。郷土史家らにアドバイスをもらって学問的な裏付けも取り、4年かけて描き上げ、1993年に1千部を印刷した