奈良時代の平城京(710〜784)で、政治の中枢だった平城宮(奈良市)の役人が牛や豚の肉を食べていたことが、便槽の遺構に残る便の分析から確認された。奈良文化財研究所が17日、発表した。牛や豚の肉を食べると感染する寄生虫の卵の遺物が見つかった。当時の肉食が科学的に裏付けられたのは初めて。 殺生を禁じる仏教を尊んで肉食禁止令が出ていたにもかかわらず、食べていたらしい。当時の日本人は殺生、肉食を忌避していたと考えられていた。 宮内警備にあたった「衛府(えふ)」などがあった官庁街の推定地で、人の便を埋めて処理したとみられる七つの穴(直径約50〜70センチ、深さ約20〜80センチ)が出土し、排便後にお尻をぬぐうために使った細長く割った板「籌木(ちゅうぎ)」や便の固まりが見つかった。便を顕微鏡で分析したところ、牛肉や豚肉に特有の寄生虫の卵を確認した。 古来、日本人はイノシシやシカなどの肉を食べて