「坂の上に雲があるかもしれないし、ないかもしれない。それでもそこに何かがあるのなら、自分はつかみにいきたい」 “野に下る”選択をした男はこう語った。 金融庁の総務企画局企画課で信用制度参事官室企画官を務めた神田潤一氏。2015年8月に日本銀行から出向し、国内FinTech産業の振興に身を投じた。金融庁長官の森信親氏が金融機関への変革を迫れば、現場では神田氏がスタートアップ業界と金融業界の融和を説いた。 その持ち前のフットワークの軽さは、金融庁のイメージを大きく変えた。スタートアップ企業が集まる会合には、必ずといっていいほど神田氏の姿があった。時に趣味のオペラを歌い、時にどこからともなく出てくるハーモニカを吹いた。ある起業家は「神田さんと出会って、従来の『怖い』『堅い』『冷たい』金融庁のイメージが変わった」と語った。 FinTech産業振興のためスタートアップ企業との交流を深めた元金融庁総務
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