より多くの動力を使って、より多くの原料を運び、より多くの製品を生産・販売することで産業革命を達成した。資本主義の発展を支えてきたのが化石燃料と内燃機関だった。 このコラムでは、石油生産の経済性と環境問題の両面から石油の時代が限界を迎えつつあることを説いてきた。石油の枯渇と使用禁止のどちらが先かは別として、今世紀後半には石油の利用に大きな制約が生じるだろう。 そこで今回は、石油なき時代のモビリティについて考える。 石油の行き詰まりを技術が打開 カリフォルニア州政府が、2018年から自動車各社にZEV(ゼロエミッションビークル)の販売比率を年々高めるよう義務付けたことから、乗用車の電動化の流れが始まった。 一方、多くのディーゼル車メーカーは、2015年に露見した米国におけるフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正を機に、複雑かつ高コストの排気後処理装置を必要とするディーゼル車に見切りをつけつつあ