科学は客観的であるという。確かに,スコラ哲学の神学論争から,現代においては邪馬台国論争のようなレベルまでが大手を振っている文系学問とは異なり,科学が提示する数字は厳密なものである。もちろんアインシュタイン以来の量子力学が指摘するように「限られた条件下で」という話ではあるが。 とはいえ,科学という分野に属する諸学問が,世界各地ですべて同じレベルで発達してきたかといえば,そんなことはない。ある時代,ある地域で,ある科学分野だけが“アンバランスに”発達するということが,過去にはあった。つまり,他の分野がほとんど未発達な状態なのに,一部の科学や技術だけが発達している社会があったのである。 この事実を,現代人が理解することはかなり難しいようだ。それは,科学はこれこれこういう過程で発達するものという“常識”に支配されているからである。そしてこれが,世の中に「謎の古代文明」が数多く登場する背景ともなって
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