当局の監視下にあった16歳の少年が留学を目指して中国北部の町を離れ、約3300キロ離れたミャンマーで拘束された。この事件が国際的な注目を集め、中国政府を揺さぶっている。逃避行を支えたのは国内外に根を張る民主派のネットワーク。事件をたどると、人権をめぐる欧米からの影響力に警戒を強める共産党と、それに挑む人々との暗闘が浮かんできた。 渦中の少年は包卓軒さん。7月、法律家として人権問題に取り組む父と北京の空港で拘束され、天津で監禁された。旅券は取り上げられ、当局の指示で内モンゴル自治区ウランホトの祖母宅に預けられていた。 国営メディアによると、包さんの出国の経緯はこうだ。国慶節の連休が始まった10月1日朝、当局の監視をかいくぐり、迎えに来た支援者と合流した。ウランホトの空港から他人名義の身分証明で飛行機を乗り継ぎ、雲南省昆明に到着。別の支援者が運転する車でミャンマー国境地帯に入り、地元住民が運転