米グーグルなどの研究チームは23日、同社の量子コンピューターの計算速度が、現在の世界最速のスーパーコンピューターを大幅に上回ったと、英科学誌ネイチャーに発表した。スパコンで1万年かかるとされる特殊な計算を、3分20秒で終えたという。 量子コンピューターの概念は1980年代に提唱され、いずれはスパコンの計算速度を超える「量子超越性」が実証されるといわれてきたが、実際に証明されたのは世界初とみられる。ネイチャー誌に同時掲載された解説記事で、米マサチューセッツ工科大のウィリアム・オリバー教授は「ライト兄弟の初飛行に匹敵する偉業」とたたえた。 研究チームが開発したのは、情報の基本単位「量子ビット」の数が53個の量子コンピューターで、材料には電気抵抗がない超伝導の状態のアルミニウムを使った。量子コンピューターが得意とする特殊な数学の問題を、高速で解くことに成功した。量子ビット同士の相互作用を制御する