為替変動によるリスクを避けるための金融商品「デリバティブ」を銀行から購入した中小企業が、急激な円高でかえってその取引による損失が生じ、倒産に至ったケースが相次いでいる。「融資とセットで購入させられた」など、銀行に対する企業側の不満は強く、全国銀行協会への苦情・相談件数も増加した。金融庁は深刻な事態として実態調査に乗り出した。 東京都内の食品輸入販売会社は今年9月、約5億円の負債を抱えて倒産した。担当者によると、中国などアジア各国からドル建てで食品を輸入していた同社は2003年ごろ、3銀行から勧められ、デリバティブを購入。デリバティブは企業と銀行が事前に決めた交換レートでドルを取引できる金融商品で、1ドル=120円だった当時、110円で購入できる契約だった。 担当者は「円安が続くからお得だと言われた。初めて銀行の接待を受け、銀座でステーキを食べた」と契約時を振り返る。だが、08年秋のリー